世界1位ジョコビッチ、40歳ロペスらが母国の勝利に貢献 [デビスカップ・ファイナルズ]

写真はオーストリア戦で母国の勝利を決める勝ち星を挙げたノバク・ジョコビッチ(セルビア)(Getty Images)


 男子テニスの国別対抗戦「デビスカップ by Rakuten ファイナルズ」(スペイン・マドリッド、オーストリア・インスブルック、イタリア・トリノ/11月25日~12月5日/室内ハードコート)の大会2日目は3つのグループのラウンドロビン(総当たり戦)第1戦が行われ、世界ランク1位のノバク・ジョコビッチ(セルビア)が母国の勝利を確定させ、40歳のフェリシアーノ・ロペス(スペイン)がディフェンディング・チャンピオンであるスペインが手堅いスタートを切る手助けをし、若いイタリア代表チームは優勝歴32回を誇る第5シードのアメリカを退けた。

 インスブルックで行われたグループFの対戦はドゥサン・ラヨビッチ(セルビア)がジェラルド・メルツァー(オーストリア)に7-6(5) 3-6 7-5で競り勝ったあと、エースのジョコビッチがデニス・ノバク(オーストリア)を6-3 6-2で下してセルビアの勝利が確定した。

 この勝利によりジョコビッチは、デビスカップのシングルスでの連勝記録を「15」に伸ばした。

 2010年に母国をデビスカップ優勝に導いた英雄ながら今年の東京オリンピックではシングルスとミックスダブルスともにメダルを逃していたジョコビッチは、「ふたたびセルビアのためにプレーするというのは素晴らしい感慨だ。非常に長い1年だったが、母国のためにプレーするモティベーションは常に見つけられる」とコメントした。

 第1セット3-3から7ゲームを連取して試合の主導権を握ったジョコビッチは、「今日はいい形で試合を締めくくれたから本当に満足しているよ」と振り返った。

 ジョコビッチは勝負がかかった場合を見越してダブルスもプレーする予定になっていたが、シングルスの試合に勝って勝負が決まったためニコラ・カシッチ(セルビア)にバトンタッチした。

 一方のロペスは母国の首都マドリッドで行われるグループAのオープニングマッチでロベルト・キロス(エクアドル)を6-3 6-3で退けスペインに1勝目をもたらし、続いてパブロ・カレーニョ ブスタ(スペイン)がエミリオ・ゴメス(エクアドル)に苦戦しながらも5-7 6-3 7-6(5)で振りきった。カレーニョ ブスタは最終セット5-2から追い上げられてタイブレークに持ち込まれたが、そこではメンタルと体勢を建て直してぎりぎりの戦いの末に勝利をもぎ取った。

 18歳のカルロス・アルカラス(スペイン)が新型コロナウイルス(COVID-19)の検査で陽性と診断されたためチームを離脱したあと、大ベテランのロペスはシングルスを任された。スペインはすでにケガのため、ラファエル・ナダル(スペイン)とロベルト・バウティスタ アグート(スペイン)を欠いていた。

 一時は世界12位だったロペスだが、今やシングルスとダブルスともにトップ100圏外に落ちている。彼は現役生活が非常に長く続いているためすでに引退後のキャリアを始めており、マドリッド・オープンの大会ディレクターを務めている。

「僕は今も変わらず、テニスへの情熱を持っている。それは明らかなことだ。僕はこのようなチャンスをずっと待っていたんだ。プレーすることを予想してはいなかったけど、今週は多くのことが起きた。…そして終わって見れば、僕は素晴らしい試合をプレーすることになったんだ」とロペスは語った。

 スペインはダブルスでもカレーニョ ブスタ/マルセル・グラノイェルス(スペイン)がゴンサロ・エスコバル/ディエゴ・イダルゴ(エクアドル)との接戦を6-4 6-7(5) 7-6(2)で制し、最終的に3勝0敗で勝利を決めた。

 トリノで行われたグループEの対戦では、アメリカがホスト国のイタリアに対して厳しいスタートを切った。地元トリノ出身のロレンツォ・ソネゴ(イタリア)がライリー・オペルカ(アメリカ)を6-3 7-6(4)で倒し、続くエース対決でヤニク・シナー(イタリア)がジョン・イズナー(アメリカ)を6-2 6-0で圧倒した。

 ビッグサーバーのオペルカはダブルフォールトでこの試合唯一のブレークを許してしまい、第2セットのタイブレークでもいくつかミスを犯してしまった。ソネゴは最初のマッチポイントでボレーのウィナーを決め、生まれ故郷のファンたちの前でデビスカップのデビュー戦を飾った。

 同じくツアー屈指のビッグサーバーであるイズナーは、今月にトップ10入りした20歳のシナーに対して2回しかサービスゲームをキープできなかった。

「こんなに簡単に負けた試合なんて思い出せないよ。もしかすると、これが初めてかもしれないね。…今日はほとんどフリーポイントを取れなかった。それが厳しい試合になった原因だ。彼は集中して物凄くボールをうまく打ち、自信に満ちていた。僕が最高のプレーをしたとしても、今日の彼を倒せたかどうかわからない」とイズナーは脱帽した。

 ダブルスはラジーブ・ラム/ジャック・ソック(アメリカ)がファビオ・フォニーニ/ロレンツォ・ムゼッティ(イタリア)を7-6(5) 6-2で退け、最終スコアは2勝1敗でイタリアの勝利となった。
 
 それでも国の最高位プレーヤーであるマッテオ・ベレッティーニ(イタリア)を負傷で欠いているイタリアにとって、それはかなり目覚ましいスタートだった。

「今日は多くの『初』があった。ソネゴとシナーはデビスカップでデビューを遂げ、僕は監督としての初仕事だった。ムゼッティもまたデビスカップ初出場で、初めてフォニーニと組んでプレーしたからね。でもこれは、最初のステップに過ぎない」とイタリア代表チーム監督のフィリッポ・ボランドリ(イタリア)は話した。

 ファイナルズでは18ヵ国が3チームによる6グループに別れて総当たり戦を行い、各グループの1位と2位の中でもっとも成績のいい2チームが決勝トーナメントに進出して優勝チームを決定する。試合はベスト・オブ・3セットマッチで行われ、シングルス2試合とダブルス1試合で争われる。

 昨年の大会はパンデミックにより、開催中止となっていた。オーストリアがロックダウンに入ったためインスブルックでの試合は無観客で行われ、トリノが収容人数の60%に制限され、マドリッドは最大75%までの観客動員が許可されている。

 2019年大会では7日間に渡って全試合がマドリッドで行われたが、プレーヤーやファンから時間が遅すぎてスタンドに空席が目立つナイトマッチと対戦の間に十分な休みがないことに対する批判が出たため大会期間を11日間に延ばして会場を3都市に分けて行うことを決めていた。(APライター◎アンドリュー・ダンプ/構成◎テニスマガジン)

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写真◎Getty Images

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