「2セットダウンでジョコビッチならどうするかを考えた」オジェ アリアシムに逆転勝利のメドベージェフ [オーストラリアン・オープン]

準々決勝でフェリックス・オジェ アリアシム(カナダ)に逆転勝利のダニール・メドベージェフ(ロシア)(Getty Images)


 今年最初のグランドスラム大会「オーストラリアン・オープン」(オーストラリア・ビクトリア州メルボルン/本戦1月27~30日/ハードコート)の男子シングルス準々決勝で第2シードのダニール・メドベージェフ(ロシア)が第9シードのフェリックス・オジェ アリアシム(カナダ)を6-7(4) 3-6 7-6(2) 7-5 6-4で倒してベスト4に進出し、試合を振り返った。

相手のマッチポイントなど大事な場面で思い切って打っているようだった。

「そう見えたかもしれないけど、そこまで思い切り打てた訳じゃない。タイトな瞬間だったし、負けたらどうしようとか、いろんなことが頭を駆け巡った。これをミスしたら10分後にはロッカールームで帰国の便を変更しなきゃいけないとかね。でも僕はその瞬間に集中していた。サービスはワイドとセンターどちらに打とうか。ワイドに打って何とかうまくいったね。セカンドサーブは難しい。思い切って強く打つか、安全に入れにいくか迷う。ファーストサーブよりも手が震えるし、思い切って打って、あとは入ることを祈るだけだ。マッチポイント以外にもプレッシャーのかかるタフなポイントがたくさんあった。第3セットからは、その大事なポイントでうまくプレーできたと思う」

フェリックスはUSオープンでもATPカップでも倒している。この試合で状況が悪くなっても、どのくらい逆転できるという自信があったのかい?

「最初の2セットの彼は、自分が今まで見たことがないほどレベルが高かった。ちょっと手に負えなかった。自分は最高のレベルではなかった。ミスが多過ぎた。第3セットでは自信がゼロだった。とにかくファイトするしかなかった」

フェリックスは独特の唸り声を上げるけど、君が試合中にそれを真似していなかった?

「正直に言うとそれが僕の性分なんだ。親友や妻など親しい人と長くしゃべっていると、僕が話し相手に似た話し方をし始めて、相手はちょっと嫌になるらしいんだ。故意ではないよ。新たな友人ができて、たくさん話すとその人のフレーズを使ったりする。相手のしぐさも真似するから、相手にしたら“お前は一体何をしているんだ?”と気分を害すときもある。フェリックスの真似をしていたのなら、それはわざとじゃない。彼は唸り声に力を込めていて、僕も本当に生き残るために戦わなければならないとなったとき、唸り始めた。その瞬間は何も考えてないよ。でもあとから振り返ると、何度かポイントを取ったあと、“彼のように唸っていた?”と思うことが何度かあった」

金曜日にステファノス・チチパス(ギリシャ)との対戦ではどうなると思う?

「彼はあまり唸り声を上げないよね? 彼のように片手バックハンドでプレーするようになることは絶対にないよ。僕はすべての試合で相手と同じように唸る訳じゃない。でもこの試合は凄くタイトだったから、もしかしたら脳の中で無意識に何か精神的なものが作用したのかもしれない」

君は2セットダウンのときに“ノバク・ジョコビッチ(セルビア)ならどうする?”と考えたというが、実際ノバクならどうしたと思う?

「凄くうまくいってよかったよ。僕はまだ若く、最高の選手たちから学べることは取り入れなければならない。ラファエル・ナダル(スペイン)やロジャー・フェデラー(スイス)からももそうやっていい部分を学んできた。でも、僕が上昇し始めた頃にラファやロジャーはケガで欠場することが増えてきたから、ノバクと対戦する回数のほうが圧倒的に多い。若いときは一緒に練習してもらい、彼が勝つこともあれば自分が勝ったこともある。彼がグランドスラム大会で勝つのを何度も見てきた。ロラン・ギャロスではチチパスやロレンツォ・ムセッティ(イタリア)相手に2セットダウンから逆転した試合も観た。僕の状況に戻ると、2セットダウンで自信レベルがゼロになっていた。そこで考えたのは、“世界最高の選手なら、この状況でどうする?”かということだった。僕もそのうちの一人かもしれないが、まだ若く、グランドスラムの優勝回数では遠く及ばない。すべての試合で自分が少しダウンしているときは、“ノバクのようにやるんだ! 自分のほうが強いことを見せてやれ!”と自分に言い聞かせている。でも、それが毎回必ずうまくいく訳じゃない。彼がマッチポイントを握っていたのだから。ダブルフォールトをして失敗することもあり得たが、何とか入ってくれた。うまくやったとは言えないが、今回の場面では何とかなった」

ノバクの名を出したときのアリーナの反応をどう思った?

「観客はブーイングしたけど、正直に話しただけだ。この時代、何でも口に出してはいけないこともあるから、思ったことをすべて口に出すことはできない。でも、あのオンコートインタビューでは、自分が試合中に思っていたことを正直に話した。皆に正直であるのがいいと思ったんだ」

この試合でも少し観客の歓声やスクリーンの映像に邪魔されたように見えたが、ゾーンに入ってからは何も聞こえていない様子だった。

「観客に邪魔されたとはまったく感じていなかった。皆よかったと思う。試合の序盤はどちらのファーストサーブとセカンドサーブの間に歓声もあったけど、でも途中からはなくなった。僕も彼らを煽ろうとしたときもあったし、苦しいときに応援もしてくれた。カナダ人が歌っていたし、とても楽しい雰囲気だった。邪魔だと感じたことはなかった。スクリーンの問題は確かにあった。他の試合ではどうか知らないけど、この試合でのリターンのときに気になった。僕がリターンのときにフェリックスの顔がアップになり、トスを上げて打つ瞬間になって普通の映像に切り替わった。どうやってリターンするんだ?って思ったよ。視線があっちこっちにいって定まらなかった。でも、その後はその映像の切り替えをやらなくなった。ひとつ気になった屋根の問題もあった。第3セットの最初に屋根を閉じ始めたが、途中で止めてしまったんだ。トスを上げたら、突然ボールのバックに屋根と空の両方が見えたんだ。それはあり得ない。だから、閉じるなら閉じてほしいとお願いしたんだ」

君の現在の調子はどうなんだ? 今大会は今日の死闘もあったし、マキシム・クレッシー(アメリカ)やニック・キリオス(オーストラリア)との物凄いバトルもあった。

「すべての試合は違ったものだ。1回戦は慣れる必要があり、ニックとの2回戦はサービスがよかった。ボティック・ファン デ ザンツフープ(オランダ)との3回戦がレベルという意味では一番よかった。4回戦はクレッシーがサーブ&ボレーをしてきた。悪くなかったけど、タフな試合だった。今日の第1、第2セットは好調には程遠い出来だった。フェリックスも素晴らしかった。テニスはエネルギーに左右されるゲーム。だからこそ時折トッププレーヤーが3セットで敗れて、最悪だったとコメントすることがある。相手がよかったという要素もあるけどね。だからすべてのことが絡み合っている。今は結構自信がある。明日になって体がどう反応するかわからないけど、今は何も問題ない。準決勝までにしっかり回復して臨みたい」

今日の4時間42分の死闘のあとで、ステファノスとの試合にどう向き合う?

「こんな経験は初めてだ。長い試合は過去にもあったが、4時間半も戦って2日後に次の試合は初めて。しかももう真夜中だ。様子を見ないといけない。でも、世界最高の選手たちはこのような戦いを乗り越えてきた。どうやってかはわからないが、彼らにはできた。自分もその仲間入りするには、やらないといけない。ステファノスは素晴らしい選手だから、彼を倒すにはしっかり回復して最高の状態で臨まなければいけない」

初めてのグランドスラム優勝の直後にグランドスラム連覇をした例がない。そのチャレンジに向けて準備はできている?

「誰か、成し遂げたことがある選手はいるんじゃないか? 本当に起きたことがないの? その記録は見たことがないから、もし誰もいないのなら驚きだ。でも、いいチャレンジだ。僕はあと2試合で達成できる。自分の状態を確認しないといけないが、いいチャレンジだ。でもあまり考え過ぎない。USオープン優勝は大きな自信になった。でも、その後は僕を倒そうとする選手がたくさんいる。そのうちの一人が今日コートにいた。フェリックスは勝利まであと一歩だった。僕も崖っぷちに立たされた。全力で戦ってあと2試合をものにしたい。もしその記録が本当なら、新たな歴史だ。素晴らしいね」

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写真◎Getty Images

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