キリオスが5つのマッチポイントを凌いで準決勝へ「僕はそれがマッチポイントかどうかなんて考えない」 [シティ・オープン]
ATPツアー公式戦の「シティ・オープン」(ATP500/アメリカ・ワシントンDC/8月1~7日/賞金総額210万8110ドル/ハードコート)の男子シングルス準々決勝で、ふたつの劇的な試合があった。
日本の西岡良仁(ミキハウス)が第16シードのダニエル・エバンズ(イギリス)に7-6(5) 4-6 7-5で競り勝ち、ダブルヘッダーを強いられたニック・キリオス(オーストラリア)は第10シードのフランシス・ティアフォー(アメリカ)との壮観な熱戦を6-7(5) 7-6(12) 6-2で制した。
キリオスはまず第2セット2-1リードの時点で雨により持ち越された第4シードのライリー・オペルカ(アメリカ)に対する3回戦を7-6(1) 6-2で片付け、それから休憩を挟んで同日の最終試合となったナイトマッチでティアフォーを退けた。
ともにエンターテイナーと知られるふたりの一騎打ちは、テニス面でも期待にたがわぬ戦いとなった。キリオスがタイブレークで一時4-1、5-2とリードしながら巻き返されて落とした第1セットのあと、最大の山場は第2セットのタイブレークで訪れた。
お互いに最後の最後まで1ポイント以上のリードを許さない激しい凌ぎ合いとなったこのタイブレークでキリオスはまず5-6から最初のマッチポイントをサービスエースで凌ぎ、7-8のピンチでバックハンドのダウン・ザ・ラインを決めたときには微笑み、11-12で迎えた5つ目のマッチポイントではドロップショットでポイントを奪う度胸を見せた。
こうして14-12でタイブレークを取ってセットオールに追いついたキリオスはその勢いに乗って第3セット第1ゲームでブレークに成功し、「もう寝たいよ」と呟きながらも堂々としたプレーぶりで夜中の1時過ぎに試合を締めくくった。
試合後に5つのマッチポイントを凌いだことと窮地での度胸について聞かれたキリオスは、「僕はそれがマッチポイントかどうかなんて考えてはいないよ。結局のところ、負けるときは負けるんだ。そのときは相手と握手して、『まいったよ』と言うだけさ」と答えた。
何度か雨に見舞われた金曜日の蒸し暑い夜、アメリカ人のティアフォーに観客の声援が集まる中で多少の苛立ちを見せながらも危機を乗り越えたキリオスは、「厳しいコンディションだった。かなり水分を失ったけど、試合後半に向けて自分のサービスにギアが入ったと感じた。最後のほうで脚に力が漲るような気がしたんだ」と試合を振り返った。
「このコンディションで時速130マイル(時速209km)でサービスが打てるというのは、かなり助けになる。ここまでこれて本当にうれしいよ」
キリオスは準決勝で、セバスチャン・コルダ(アメリカ)を6-2 5-7 6-3で破って勝ち上がったミカエル・イーメル(スウェーデン)と対戦する。コルダもまた前日の雨でダブルヘッダーを強いられ、第5シードのグリゴール・ディミトロフ(ブルガリア)を4-6 6-1 6-2で倒して8強入りを決めていた。
もうひとつの準決勝は、第1シードのアンドレイ・ルブレフ(ロシア)と西岡の顔合わせとなった。ルブレフは3回戦で第13シードのマキシム・クレッシー(アメリカ)を6-4 7-6(8)で振りきったあと、ワイルドカード(主催者推薦枠)で出場したJ.J.ウルフ(アメリカ)を6-2 6-3で下して勝ち上がった。
写真◎Getty Images
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