スビトリーナが世界1位シフィオンテクを倒して準決勝へ「戦争が私を精神的に強くした」 [ウインブルドン]
今年3つ目のグランドスラム大会「ウインブルドン」(イギリス・ロンドン/本戦7月3~16日/グラスコート)の女子シングルス準々決勝でワイルドカード(主催者推薦枠)を得て参戦したエリナ・スビトリーナ(ウクライナ)が第1シードのイガ・シフィオンテク(ポーランド)を7-5 6-7(5) 6-2で倒し、2019年以来となるキャリア2度目のベスト4進出を決めた。
持ち前の粘り強さと追い込まれてからも厳しいボールを返せる守備力を発揮したスビトリーナは相手のミスもあって第1セットを先取したが、第2セットでは意地を見せたシフィオンテクが要所でアグレッシブなショットを決めてタイブレークをものにした。
しかし第3セットでも変わらないテンポで戦い続けたスビトリーナは第3ゲームでブレークに成功すると5-1とリードを広げ、最初のサービング・フォー・ザ・マッチをきっちりキープして2時間51分で勝利を決めた。
コースのよさで何度もバックハンドのウィナーを奪ってややミスが多かったシフィオンテクを最後には圧倒したスビトリーナは、「ここでまたプレーする機会を得られて本当にうれしいわ。この素晴らしい雰囲気の中でこのような素晴らしい試合ができて信じられないような気分よ」とスビトリーナは試合後のオンコートインタビューで語った。
1年前のスビトリーナは出産を控え、完全に戦線を離脱していた。娘が生まれたのは10月で、彼女がツアーに復帰したのは今年4月のチャールストンからだったが周囲の予想以上に迅速かつ順調にカムバックの過程を辿っている。今大会ではワイルドカードで出場した43歳のビーナス・ウイリアムズ(アメリカ)、予選から勝ち上がったソフィア・ケニン(アメリカ)、第19シードのビクトリア・アザレンカ(ベラルーシ)、世界ナンバーワンのシフィオンテクと4人のグランドスラム優勝経験者を破った末に4強の舞台に辿り着いた。
妊娠中も戦火に置かれたウクライナを支える活動を続けていたスビトリーナは、今大会中にも機会があれば母国への思いを語ってきた。彼女はベラルーシ人のアザレンカとの大接戦を制したあと、「私は責任を感じている。ロシア人やベラルーシ人とプレーするときは勝たなければならないというより大きなプレッシャーを感じる。だからこの種の勝利を掴むことには大きな意味があるの」と明かしていた。
「戦争が私を強くしたし、精神的にも強くなった。精神的には困難な状況を災害とは考えていない。人生にはもっと酷いことがある。私はより穏やかになり、物事を少し違った視点から見るようになった」とスビトリーナは語った。
敗れはしたが22歳のシフィオンテクは大会前週のバート ホンブルクで4強入りし、四大大会でもっとも結果を出せていなかったウインブルドンでも初めて準々決勝に進出してグラスコートシーズンでの自己最高成績をマークした。彼女は試合後の記者会見で、試合後に握手を交わしたときに「あなたが優勝することを願っている」とスビトリーナに伝えたのだと打ち明けた。
「彼女が本当にそれを望んでいることはわかっている。だから私は彼女を応援するわ」
スビトリーナは準決勝で、第4シードのジェシカ・ペグラ(アメリカ)を6-4 2-6 6-4で破って勝ち上がったマルケタ・ボンドルソバ(チェコ)と対戦する。
写真◎Getty Images
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