母国の空爆被害に心を痛めるスビトリーナが準々決勝に進出「ウクライナの顔のひとりであることを誇りに思う」 [ウインブルドン]
今年3つ目のグランドスラム大会「ウインブルドン」(イギリス・ロンドン/本戦7月1~14日/グラスコート)の女子シングルス4回戦で、第21シードのエリナ・スビトリーナ(ウクライナ)がワン・シンユー(中国)を6-2 6-1で退けベスト8に進出した。
第5ゲームであった0-40のピンチ以外ブレークポイントに直面しなかったスビトリーナは相手のサービスゲームを2度破って第1セットを先取し、第2セット1-1から最後の5ゲームを連取して55分で快勝した。
この日はウクライナが新たにロシアから爆撃を受けて少なくとも30人以上の死者と多数の負傷者が出たというニュースがあり、スビトリーナは胸元に黒いリボンをつけてプレーした。
「ウクライナの人々にとってとても辛い日です」と試合後のオンコートインタビューで語ったスビトリーナは感情的になって言葉を詰まらせた。
「ニュースを見てからコートに出るのは凄く難しい。こんなに厳しいことはない。だから今日はプレーをして勝つことができて満足している」
出産と産休を経て昨年4月に復帰したスビトリーナは母国で起こっている戦争に心を痛め、自分のプレーで国民を励ますことをモティベーションのひとつにして戦ってきた。ロシアとベラルーシの選手とは試合後の握手をしないというポリシーを貫き、昨年の大会では準決勝まで勝ち進んだ。
「すべてのウクライナ人が意識を高めて資金を集め、ありとあらゆる方法で母国を支援するために自分なりの方法で取り組んでいる。私の場合はテニスなの」とウクライナ政府運営の公式募金プラットフォームである「United24」の親善大使を務めるスビトリーナは試合後の記者会見で語った。
「私は自分の仕事と自分がコントロールできることに集中しようと心掛けている。できることをやるしかない。少なくとも今日の勝利はウクライナの人々に幸せな瞬間を届ける小さな光になったと思う。多くのメッセージが届いたわ。国民は私のパフォーマンスに感謝してくれている」
「普段は試合やプレーについて1日中考えている。今朝からは自分の思考や感情がぼんやりしている感じだった。頭の中に子供たちのことや悲惨なことがたくさん浮かんできた。今日はミサイルが小児病棟に着弾したからより一層辛かった。たくさんの子供たちが命を落とした」
「私たちアスリートは政治家と同じくらい力があると感じている。私たちは毎週のように自分たちだけではなくウクライナの人々を代表して大きな舞台で競い合っている。大きなプレッシャーと重圧があるけど、私はウクライナの顔のひとりであることを誇りに思っている。国民に喜びを届けるために毎日ベストを尽くしているわ」
スビトリーナは準々決勝で、第17シードのアンナ・カリンスカヤ(ロシア)が3-6 0-3とリードされた時点で棄権したため勝ち上がった2022年大会チャンピオンで第4シードのエレーナ・ルバキナ(カザフスタン)と対戦する。
写真◎Getty Images
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