ナダル+フェデラー=ジョコビッチ〜新しいタイプのフォアハンド_ジョコビッチのフォアハンド検証第1弾

それは新しいタイプのフォアハンドなのだ!

ジョコビッチは常識破り? それともユニークなの?

違う!

3|フェデラーやナダルと違う、極端な上体のひねりとボールを打つ腕の形

 ところで、ジョコビッチのフォアハンドのその他の要素(前述の1&2以外)は、ナダルともフェデラーともあまり似ていません。例えば、ジョコビッチの『上体のひねり』は極端で、バックスイングではラケット面がフェンス方向を向くほどまでとなります。一方でナダルやフェデラーも上体をしっかりひねりますが、ジョコビッチのそれほどではありません。

 また、ジョコビッチはボールを打つときに、肘と手首をダブルに曲げる『ダブルベンド』という形になりますが、一方で、ナダルやフェデラーはボールを打つときに、腕がまっすぐに伸びる『ストレートアーム』という形になり、両者はまったく異なるものです。

違う!

4|厚いグリップで、肩の上でフィニッシュするジョコビッチは、フェデラーやナダルのそれとは違う!

 フォアハンドの『ボールスピード』というのは時速160㎞を超え得るもので、ときにその半分のスピードとなることもあります。また、『スピンレベル』は1000rpm(回毎分)から5000rpm(回毎分)もの幅があり、ボールによっては500%違うこともあります。

 プレーヤーは様々なボールに対して、様々な利き腕のポジションを使って、膨大なインパクト幅の中で、様々な度合いで上体をひねり、様々な度合いでボディローテーションを使ってボールを打ちます。

 そこに様々なフィニッシュ(フォロースルーでラケットを振り切った最後の部分)のバリエーションが生まれます。長かったり、短かったり、高かったり、低かったり。肩の上で終わるフィニッシュもあれば、肩に巻き込むフィニッシュ、胴体の周りを通って終わるものや、プレーヤーの頭の上を通って、スイングを始めたのと同じ体の側で終わるものもあります。これらすべてのフィニッシュは、度合いの差こそあれ、手と腕のローテーション――いわゆるワイパー効果によるものです。

ジョコビッチは、ナダルやフェデラーのような『ストレートアーム』(腕がまっすぐに伸びてボールを打つ)ではなく『ダブルベンド』(肘を曲げ、手首を曲げてボールを打つ)

ナダルやフェデラーは、ジョコビッチのような『ダブルベンド』(肘を曲げ、手首を曲げてボールを打つ)ではなく『ストレートアーム』(腕がまっすぐに伸びてボールを打つ)

プレーヤーは様々な要素を組み合わせてプレーするので、フィニッシュも様々な形となる。長かったり、短かったり、高かったり、低かったり。フェデラーやナダルは、胴体の周りを通って終わるフィニッシュや、頭の上を通って、スイングを始めたのと同じ体の側で終わるものがよく見られるが、基本的には度合いの差こそあれ、手と腕のローテーション――いわゆるワイパー効果の結果「そうなる」のである

ジョコビッチはほとんどの場合、肩の上で終わる『フィニッシュ』(フォロースルーの終わりの位置)をしている。それはオールドスタイルともいえ、かつてのフォアハンドがそうだった。フェデラーやナダルに見るような胴体の周りを通って終わるフィニッシュや、頭の上を通って、スイングを始めたのと同じ体の側で終わるフィニッシュとはやや違う

[アドバイス]フィニッシュがボールをどうこうするということはない!

 よく誤解されることですが、「フィニッシュ」と「スピンレート(割合)」、それから「ショットの軌道」の間には絶対的な相関関係はありません。どういう意味かというと…例えば、胴体の周りを通ってフィニッシュするとヘビースピンが打てるというわけではなく、その反対にヘビースピンを打てばフィニッシュは胴体の周りを通って終わるというものでもないのです。

続きを読むには、部員登録が必要です。

部員登録(無料/メール登録)すると、部員限定記事が無制限でお読みいただけます。

いますぐ登録

Pick up

Ranking of articles