ナダル+フェデラー=ジョコビッチ〜新しいタイプのフォアハンド_ジョコビッチのフォアハンド検証第1弾

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ジョコビッチは、グリップもフィニッシュもフェデラーと違うのにスピンレート(合割)が同じ

これがすなわち最新フォアハンド!

スピンの量も、スピンの幅もフェデラーと似ているがフィニッシュは違う

 次に、ジョコビッチのスピンレート(割合)に目を向けてみます。すると、フェデラーとのもうひとつの大きな類似性が見えてきます。

 私たちが分析したジョコビッチの「50」のフォアハンドについて、スピンレートは、フェデラーが平均2700rpm(回毎分)だったのに対して、ジョコビッチは平均2800rpm(回毎分)を記録していました。また、スピンの幅もジョコビッチとフェデラーは非常に類似しており、フェデラーの幅が1400rpmから4500rpmなのに対して、ジョコビッチの幅は1500rpmから4200rpmとなっています。

「似ているにも関わらず~」ということが起きています。

 現在のプロテニス界では普通に見るようになった、胴体の周りを通る形の“ワイパースイング”や、頭の上で終わる、ラケットを振り出した側に戻るような斬新なフィニッシュがありますが、これが「重いスピンを生み出すためのキーポイント」だと信じている人たちがいます。

 しかし、それは迷信です。ジョコビッチのフィニッシュは、主に肩の上で終わる“オールドスタイル”(写真上)ながら、スピンレートはフェデラーと同等です。

 そのフェデラーは多くの場合、胴体の周りを通る形の“ワイパースイング”(写真下)です。

 ジョコビッチも“ワイパースイング”ではありますが、胴体に腕を巻きつけるフィニッシュではなく、肩の上でフィニッシュする方がはるかに多いのです。

 これらのことから、スピンレートとスピン量、そしてフィニッシュの形の違いの間には相互関係はないということが言えます。つまり、これが迷信であるとする理由です。

 現在は多くのトッププレーヤーがワイパースイングで重いボールを打っていますが、ジョコビッチもそうで、ただし、肩の上でフィニッシュする『フラットスタイル』で4000rpm以上のスピンを生み出しています。

様々な技術的要素が組み合わさって成立する、最新フォアハンド

 ジョコビッチが『フルウエスタングリップ』を使い、『ベースラインに近いポジション』から、肘と手首を曲げて『ダブルベンド』でボールを打ち、さらに、多くのコーチたちが今後、絶滅すると考えている『肩の上のフィニッシュ』(写真)で、ワイパースイングで胴体に腕を巻きつけるフォアハンドキングのフェデラーと同等の『スピンレート』でボールを打っています。

 かつてはこのような技術的要素の組み合わせは考えられないものでしたが、現在はこの組み合わせこそ、最新フォアハンドであり、これまでのフォアハンドよりも柔軟性、多様性あるものとなっています。

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