ナダル+フェデラー=ジョコビッチ〜新しいタイプのフォアハンド_ジョコビッチのフォアハンド検証第1弾

世界3強のグリップをチェック!

3種類のグリップ

グリップの8つの面と手の平の2つのキーポイントを組み合わせて考える

 ジョコビッチのプレーポジションと、彼が頻繁にライジングでボールをとらえていることを併せて考えると、ジョコビッチは“正統派グリップ”でプレーしていると想像するのが自然です。いわゆるフェデラーのようなグリップです。ところが、実際のところジョコビッチは、ナダルよりもさらにグリップの下側に手がある、非常に厚いグリップなのですから、そのグリップとポジションの組み合わせは信じがたい事実だと私は思います。なぜなら、これまでそのような組み合わせはほとんど前例がなかったからです。

 私はグリップを明確に理解する方法として、手とラケット(グリップ)がどのようにつながっているかを表現する目的で、グリップに番号をふって、専用用語で解説しています。それはプレーヤーがグリップの面を理解すること、プレーヤーが手をどの面に、どのように置くかということを考えるときの基盤にすることができます。

 ここでは右利きを例に、グリップを最上面から数えて、右回りに、下方向へと下りていきましょう。8面あるグリップに、手の平の2つのキーポイントを置きます。2つのキーポイントとは、人差し指の付け根と、小指の下方向に位置する手の平の膨らみ部分です(写真参照)。

右利き用

人差し指の付け根と、小指下の手の平の膨らみがどこにあるのかチェック!

これから出てくる数字の見方 【人差し指の付け根/小指下の手の平の膨らみ】※左利きのナダルは反対回りの番号で考えます。

2つのキーポイントがグリップの面に対してどのように当てられているかをチェック!

 2つのキーポイントを面に対して平らに当てる、あるいは同じくらい頻繁に、面と面の間の角に合わせます。“世界3強”たちがどの面に手を当てているか、私が出した結論は写真につけた解説の通りです。

 正確にグリップを描写するには、『イースタン』『セミウエスタン』『ウエスタン』などと呼ぶだけでは十分ではなく、これらはとても曖昧です。例えば『イースタン』と『ウエスタン』の間(幅)には少なくとも10の異なるフォアハンドグリップがあると私は考えています。それらをおそらくトッププレーヤーたちの誰かが使っていると考えられます。

 また、グリップはガチッと固めて不動なものではなく、トッププレーヤーたちは日によって、コートサーフェスによって、シチュエーションによって、わずかに変えることがあります。それが意図的かどうかは定かではありませんが、ごくわずかにバリエーションがあります。基本的な手の位置から、ごくわずかにグリップを変えてストロークを発展させていると考えられます。

フェデラーのフォアハンドグリップ
【3/3】or【3.5/3】

 フェデラーはほとんどの場合、2つのキーポイントが3番か、その近くにあります。ときどきフェデラーの人差し指の付け根が3番の上にあるように見えることがありますが、ほとんどの場合は4番の方に半分ほどずれているように見えます。ですからフェデラーのグリップは【3/3】、あるいは【3.5/3】と考えられます。

ナダルのフォアハンドグリップ
【4/4】or【4/4.5】

 ナダルはほとんどの場合、人差し指の付け根がフェデラーよりもひとつ下の面となる4番にあります。そして、彼の手の平の膨らみもまた4番、あるいは4番と5番の間の角にきています。つまりナダルは【4/4】、または【4/4.5】と考えられます。

ジョコビッチのフォアハンドグリップ
【4.5/4】or【5/4.5】

 ジョコビッチの場合は、人差し指の付け根がナダルのグリップより下の4.5番か、あるいはさらに下側の5番、つまりグリップの真下にあるように見えることもあります。また、手の平の膨らみは少なくともナダルと同じくらい下側の4番か、おそらく4.5番でしょう。つまりジョコビッチは【4.5/4】、または【5/4.5】までいくと考えられます。

ジョコビッチのグリップはいわゆる『フルウエスタングリップ』で、つまり手の平の2つのキーポイントがともにグリップの真下の面にくる。私たちの用語で言えば【5/5】からわずかにずれた程度のもので、このグリップは、現在のトッププレーヤーたちの中では他の誰よりも厚いグリップと言っても過言ではない

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