ルイ・カイエ_最新ダブルス入門_vol.06「テニスが変わる 動きが速くなる! リカバリー強化」_初心者から国際レベルのプレーヤーまで、同じアプローチで上達できる!

考える
ネガティブな考えをポジティブに変える!

しつこい相手が苦手だと言う人へ、どうすれば勝てるか考えてみよう!

 あるジュニアとコーチの会話です。

ジュニア「スペイン選手とは試合をしたくないです。なぜならムーンボールばかりバックハンドに打ってくるから」

コーチ「スペイン選手はそういうプレースタイルだからしょうがないよ」

 私はこれを聞いて驚きました。10歳、12歳以下のジュニアがもしも私にこのような質問をしてきたら、私はこう答えるでしょう。「相手がそういうプレーをしてくるなら、君はどうすれば勝てると思うの?」と、まず考えさせるでしょう。そして、みなさんはどうすればその選手に勝てると思いますか? 必ず考えて答えを持つようにしましょう。

 私はフォアハンドに回り込んで、ムーンボールを打ってベースラインの中に入り、前進してスイング(ドライブ)ボレーを打っていってほしいと思っています。すべてをそうするのは難しいかもしれませんが、自信をもってやり抜くことが突破口になります。対抗策を持っていれば、最初のようなネガティブな考えには決してなりません。

どうすれば相手に勝てるのか考えてほしい

 バックハンド側に高く弾むボールは誰もが力を入れづらく、攻撃的に打つのが難しいものです。そこを狙ってくる選手が相手のときに、あなたがすべき(できる)ことはいくつかあります。

教科書通りのテリトリーに構えるのではなく、ややバックハンド側に寄って構え、相手がバックハンド側を簡単に攻められないように狭めます。つまりリカバリーするときに、バックハンド側にポジションを寄せます。

ムーンボールに対してバックハンドで打つのではなく、フォアハンドに回り込んでいきます。バックハンド寄りに構えていれば、そのチャンスはあります。

あるいは、あなたもムーンボールを相手のバックハンド側へ打って相手に簡単にプレーさせないようにします。

スピン系の高い軌道のボールは“時間”があるので、あなたは前進してネットに詰めていきドライブボレーを打つという手もあります。

 テリトリー(カバーすべき場所)を教科書通りの“真ん中”から、少しバックハンド寄りに変更することも必要です。これを「ディペンズ(Depends)」と言い、時と場合によって「こうしなければいけない」ではなく、「こうしたほうがいい」「こうして応用しよう」というように、テリトリーの考え方を変化させます。すなわちリカバリーすべき場所も変わります。もちろん、これはテリトリーの基本を理解した上での話ですが、正しい判断をしてほしいと思います。

Q ムーンボールが得意な相手はあなたのバックハンドに対して何球高く弾むボールが打てると思いますか?

答えA 何球でも打てる。これは間違い

だいたいこちらの答えが多くなります。あなたが教科書通りにテリトリーの真ん中に立ち、バックハンドを空けておけば、相手は何球でもそこに打つことができるでしょう…

答えB 1球か2球。これは正解

あなたが教科書通りではなく、テリトリー(カバーすべき場所)を変化させてバックハンド側に寄れば、相手はそこを狙えなくなります。このように、どうすれば相手に勝てるのかを常に考えていれば、最初に相手にやられても、次はやられないように方法を変えることができます

ムーンボールを返球する練習

練習方法◎コーチがムーンボールを球出しします。状況に応じて球出しの場所を変えます。生徒はコーチの球出しに対して、どのように返球するのか適時判断し、打球前に「フォア」「バック」と(決断するという意味で)声に出してから返球します。

ポイント◎生徒は、コーチが球出しする場所を見てテリトリー(カバーすべき場所)を調整します。難しい返球になりがちのバックハンド側を狭めることも考えとして持っておきます。コーチは段階的にムーンボールをドライブボレーで返球する方法も取り入れさせます。

注意◎コーチは生徒にドライブボレーばかり練習させたりするのではなく、生徒自身が、どのボールがドライブボレーが打てるボールかを正しく判断できるように導きます。また、どのボールでミスをしているかなども見極める必要もあります。

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