堀内昌一先生_レシーブ力を下げるサービス練習のすすめ【本誌連動記事&動画】
概要◎日時:2019年7月28日(日) 10〜16時 オンコートレッスン、 会場:軽井沢プリンスホテルウエスト内テニスコート
テーマ◎レシーブ力を下げるサービス練習のすすめ「サービスキープせよ!」
講師◎堀内昌一
ほりうち・しょういち◎1960年2月1日、東京都生まれ。亜細亜大学教授、テニス部監督。選手時代に83年ユニバーシアード出場。85、86年ジャパンオープン出場も果たした。現在は、学生の育成・強化はもちろんのこと、テニス界全体の普及・強化にも尽力。日本テニス協会公認マスターコーチとして指導者養成に携わる。主な著書は『テニス丸ごと一冊サービス』(書籍)、『テニス丸ごとサービスDVD』のほか、テニスマガジンで連載中の『テニスの戦略と戦術がよくわかるレッスン』をまとめた書籍『テニス丸ごと一冊戦略と戦術①戦術を考えるために必要な基礎知識』『同②サービスキープは勝つための絶対条件』『同③ゲームの最終局面、ポイント獲得!』が好評発売中(いずれもベースボール・マガジン社刊)
アシスタント◎呉岡拓弥、岡悠多(亜細亜大学テニス部)
撮影◎小山真司
今回行ったサービス部活は、「自分を知る」ことから始めました。「自分のサービスをどれくらい知っていますか?」ということを問いかけて、自分のサービススタッツを測ることをしました。
2人1組になり、ひとりがアドサイドからワイド方向を狙ってサービスを5球打ちます。もうひとりはレシーバー側に回って同じくボールを5球持ち、サービスボックスの横に立って、サーバーが打った5球の落下地点を覚えておき(コートにうっすらとマークがつきます)、あとでその落下地点に5球を置いてマークしていきます。
そして、5球を打ち終わったサーバーはレシーバー側に移動して、自分のサービスの落下地点をレシーバー目線でチェックしていきます。
自分のサービスを知る
サービスの落下地点を
マークしてもらい、
レシーバー目線でそれを見る
サービスの落下地点をマークする
サーバーが打った5球がどこに落下したかをパートナーがマークしていき、それをサーバーはレシーバー側へ移動して、レシーバー目線でチェックする。サービスがどこに落ちたのか落下地点を確かめる
サーバー目線ではサービスのコースに気がいっていたが、レシーバー目線で自分のサービスを見ると、前後のばらつきの問題や深さが足りないことを意識し始める。そうするとボール軌道を高くしたり、スピン量を増やすなどボール調整を行うようになる
アドサイドからワイド方向を狙ってサービスを打つようにしたのは、アドサイドはゲームポイントがかかる割合が多く(40-30、30-40、アドバンテージなど)、非常に重要なポイントが多くなるからです。その際、サービスを相手のバック側(ワイド方向)へ打って、相手をコートの外へ追い出しつつレシーブ力を下げて、返球が甘く(弱く)なったところをフォアハンドでとらえオープンコートへ展開していく…そのようなコンビネーションプレーを考えながらサービスを打っていきます。
全員が自分のサービスをレシーバー目線でチェックしましたが、感想は、
「確率が悪い」
「ボールが浅い」
という声が多く聞かれました。
5球のうち2球ないしは1球しか入っていない方が多かったです。そして、左右のばらつきより、前後のばらつきが大きいことに驚いた方もいました。サービスが浅くて、これでは相手に攻められて当然と、しょげている方もいました。
自分のサービスをレシーバー目線で見ることをすると、深さを認識できます。深さはサーバーのポジションからは感じにくく、左右のばらつきのほうに気がいきがちです。前後(深さ)は測りづらく、意識が薄くなりまます。サービスが浅いと、レシーバーにしてみれば絶好のチャンスボールです。
ほとんどの方が自分のサービスが浅いことを知って、このあとの練習で意識すべきポイントが定まり、よかったと思います。
私はみなさんが
サービススタッツを測る前に、
ひとつ質問をしました。
「テニスのゲームで勝つための鉄則は何ですか?」
いろいろな声が上がりましたが、一番多かったのが「ミスをしない」でした。そして、その中でひとりだけ、こういう答えをしたジュニアがいました。
「サービスキープ」
そうです! 正解です! ゲームで勝つための鉄則は「サービスキープ」なのです。テニスのゲームは、2ゲームに一度サービスゲームがあります。サービスは相手に支配されることなく、スピン、スピード、コースなどを自由に選択して打つことができます。このショットの成功率が上がれば、2ゲームに一度サービスをキープでき、そうすると負けることは極端に少なくなります。
ゲームに勝つためには様々な戦略や戦術が必要ですが、まずもっとも重要な戦略がサービスキープです。このことを理解しておいてサービス練習をするのと、知らないでサービス練習をするのとでは、上達の度合いが大きく違ってくるでしょう。
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