身体を動かす前の“3つの刺激”「②伸ばす」【中村豊トレーナーのテニスアスリート革命|第66回】
![](https://images.tennismagazine.jp/media/article/16445/images/main_ab014acdbd59ae1b063b743406187828.jpg?w=850)
日々の生活で、特に今はコロナ禍の生活で私たちはストレスを感じています。それが心身に何かしらの
歪みを生じさせているかもしれません。そこで普段私が行っている身体を労るメニューを紹介しましょう。
指導◎中村 豊
なかむら・ゆたか◎東京都出身。桐光学園高校卒業後、米国にテニス留学。 チャップマン大学でスポーツサイエンスを専攻し、トレーナーの道へ。過去には錦織圭、マリア・シャラポワを指導。2018年10月からIMGアカデミーのテニス・ストレングス&コンディショニング部門総括を務め、盛田正明テニスファンドの顧問ならびに選手育成に携わっていた。2020年6月から大坂なおみの専属トレーナーとなる
写真◎中村豊 構成◎編集部
みなさんに、私が現在、継続して行っている『身体を動かす前の3つの刺激』を紹介します。
① ほぐす|Massage
② 伸ばす|Stretch ?
③ 動かす|Stabilize
①でほぐした身体を
正しいポジションに
置いた状態で
②ストレッチ
ちょっと絡まった細い一本の糸をほどいて(セルフマッサージ)、ていねいに伸ばすのがストレッチのイメージです。ここでのストレッチは可動域の守備範囲を元通りにするという意味合いですので、必要以上に可動域を向上させることではないということを念頭に進めてください。
大切なのは、身体の動きを感知する感覚に正しい情報を入力して、最終的に運動を修正し、刺激(ストレッチ)を加えていくことです。基本的には筋の反応を高めたり、使えていない(眠っている)筋・関節群の反応を引き出すことで潜在能力を引き出します。その結果が痛みの改善やパフォーマンスの改善につながると言えます。
②伸ばす
Stretch
臀筋に刺激を入れる
ポイント◎左右差を改善する
股関節は人体の中で様々な動作の中心的存在であり、出力がもっとも高い部位とも言われています。そこには臀筋群の刺激が欠かせず、これから紹介するストレッチではその部位を伸ばします。
やり方
1|股関節、膝関節、足首関節とそれぞれ前足、後ろ足で90度(硬い場合は60度前後でもOK)を保ちます。右側の骨盤から右大腿線上に体重を乗せるイメージで上肢を置きます。もっとも大切な部分は、上体の脊柱をピンと伸ばし、背中を丸めないことです。そのためには両手を右大腿横に置くことをおすすめします。
![](https://images.tennismagazine.jp/media/article/16445/images/405b6dbc239a6712b1eefa928e10b5323f17c0cb.jpg?w=1200)
2|下半身は動かさずに、上半身は真っすぐな姿勢を保った状態で、15~45度ほどお辞儀をする感じで前に倒していきます。お尻を中心としたストレッチを体感できます。
![](https://images.tennismagazine.jp/media/article/16445/images/fa4a0222a943aa9c476c9e7ebb5ad61dfa42a577.jpg?w=1200)
3|さらに、そのお辞儀した状態を保ち、右膝と右足首関節をゆっくりと地面に押しつけるイメージで体内からの“圧”を加えます。必然的にお尻の臀筋群に力を加えている状態を実感するはずです。その状態で10秒間数えます。呼吸は鼻で吸い込み(5秒)、口からゆっくりと吐き出します(5秒)。かなり、いい刺激を実感できるでしょう。
4|右足へかけていた“圧”を抜いて、上半身のお辞儀のポジションを真っすぐに伸びた元の状態へ戻します。
5| ①から④を1回として、左右3~5回を繰り返します。
ポイント
ポイントは「左右差の改善」です。プレーヤーのテニスコート内での動作を考えてみると、右利きの場合、サービスとフォアハンドは右から左への回旋が中心で、反対側の回旋運動とはかなりの差が生まれます。読者のみなさんも日常生活で、足の組み方や立位での重心の置き方に左右差を感じることはきっとあると思います。そうした癖は少しずつ蓄積され、歪みから関節への重み、痛みへと変化していきます。
ですから左右差を認知すること、その後、軽減することを念頭に進めていただけたらと思います。
ストレッチに慣れてきたら、身体が柔らかい方で軽めに2セット、硬い方で4セットなど、時間と労力を費やすことと工夫することをおすすめします。
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