「まったく役に立たなかった」決勝進出のアザレンカが今年の厳しい隔離生活を振り返る [WTAインディアンウェルズ]
WTAツアー公式戦の「BNPパリバ・オープン」(WTA1000/アメリカ・カリフォルニア州インディアンウェルズ/10月6~17日/賞金総額876万1725ドル/ハードコート)の女子シングルス準決勝で、第27シードのビクトリア・アザレンカ(ベラルーシ)が第24シードのエレナ・オスタペンコ(ラトビア)を3-6 6-3 7-5で倒して決勝に進出した。
「長い試合だった。一番重要だったのは自分のファイト。そのおかげで勝てた。もっといいプレーができたところはあるけど、彼女は第1セットで素晴らしいプレーをした。私のほうではほとんど何もできなかった。とにかく反撃するチャンスを伺うしかなかった。試合の主導権を握ろうとして、すべてのボールに食らいついた」
前回の試合後に勇気がカギになると言っていたが、この試合でも十分に勇敢だったのか?
「6-5でブレークポイントを取らせなかったときは勇敢だった。あれ以上勇敢になれる? 頭を使いながら、どこかでドロップショットを使おうと思っていた。あのポイントでの私のプレーが質問の答えになると思う」
これまで観客がいない中で長くプレーして、今夜の試合では観客が大いに盛り上がっていたのは、どう感じたか?
「昨年、無観客の中でプレーしたけど、それでも自分のファイトを生み出すことができた。でも観客がいたほうが、そのときに生まれるパワーがより大きくなる。今大会で観客がいるのはとてもありがたいこと。このところはファンがいたりいなかったりして、ルールが厳しいところもあれば緩いところもあった。WTAやATPとも話し合いながら、来年はファンと一緒にもっと楽しめるようにアイディアを出し合っている。それを楽しみにしている。今夜の観客は素晴らしく、大会を通して素晴らしい応援をしてくれている。多くの人が応援してくれるのはとても特別なもの」
今シーズン、初めて1セットダウンから逆転だった。先にリードされてからの逆転はどれほど難しいと感じているのか?
「今年は難しいシーズンだった。フィジカル的にきついときに、より大きなパワーやファイトを自分の中から生み出すことができなかった。それが凄くストレスだった。何かを加えなきゃいけないのに、それが何なのか見つけられなかった。今シーズンは何かを探し求めている時間が長く、未知の世界に入っているような感覚だった。今はより落ち着いて、規律を持って自分のプレーができている。まだ簡単ではないけど、自分がやることがはっきりしている。そこに大きなエネルギーを費やす必要がないから、すべてのボールに対してエネルギーを費やすことに集中できている。最高のシーズンではなかったけど、多くを学ぶことができた。その点ではすごくポジティブに考えられる」
強打で押してくるオスタペンコを相手に粘り強く戦ったアザレンカ(Getty Images)
この時点で決まっていないが決勝で対戦するパウラ・バドーサ(スペイン)、或いはオンス・ジャバ―(チュニジア)について。
「どちらも準決勝進出に値する。これだけレベルアップしたのだから、凄く努力してきたのだと思う。彼女たちは私と同様、オーストラリアン・オープンで厳しい隔離を強いられたグループに入っていたのを思い出す。パウラとは対戦したことも一緒に練習したこともない。自分にとって新たなチャレンジになる。まず彼女のショットスピード、ボールの癖などを学ばなければならない。もしオンスが相手だったら、決勝で戦う相手として自分が夢見てきた相手。私は彼女の大ファンなの。プレーが素晴らしいし、そこまでテニスが盛んではない国で新たな歴史を刻んでいる。彼女がこの先どこまでいけるのかが楽しみ。対戦できたらとても光栄に思う。彼女はこの数年間、素晴らしくレベルアップしてきた。フィジカル面も向上している。私は彼女のプレーの虜になっている」
この大会で過去に2度決勝を経験していることは、自分にとってアドバンテージになるのか?
「私はそのような見方をしていない。すべての試合は別のストーリーになるから。同じような試合などない。異なる日で異なるコンディションになる。過去は参考にならないから、気にしていない。それよりも重要なのは、そのとき、その場所でどんなことができるのか」
スタッツを見ると君は15本のウィナー、相手は45本だった。それでも君は勝った。こんなことができる選手はほかにいると思う?
「スタッツはそこまで大事じゃない。ある選手のほうが多くのポイントを取ったのに、その相手が勝つこともある。スタッツから試合全体を振り返ることはできない。あなたもスタッツから試合をすべて語ることはできない。ウィナーが多いということはかなりリスクを犯していることでもあり、エラーの数も増える。プレッシャーを軽減するのはある意味技術と言える。スタッツを見ていつも試合全体が見える訳じゃないと思う」
過去にハードコートのオーストラリアン・オープン決勝で2度、インディアンウェルズ決勝でも2度ストレート勝ちがある。大きい大会の決勝でストレート勝ちするマインドセットはどういうものなのか。今年はどんなマインドセットなのか?
「すべての大会は全然違うもの。初めてのグランドスラム決勝は、一度優勝したあとの決勝とは全然違う。試合へのアプローチの仕方も、プレッシャーも感情も全然違うものになる。この大会の決勝もこれまでとは違う相手になる。さっきも言ったように、すべての試合は異なるストーリーになる。予測不可能な部分がある。私はいつも1試合ずつ集中して戦っている。それがこれまで上手くいっている。それが今も物凄く重要なことだと思っている」
今年経験した厳しい隔離は今生かされているのか?
「隔離の経験はまったく役に立っていない。あの経験が役に立つことなどあり得ない。ダメージしかない。メンタル面もフィジカル面にもマイナスしかない。2週間、何もしない経験なんて人生で一度もなかった。隔離が終わったあとの自分の準備の仕方は大いに勉強になった。時間もかかったし、辛抱も必要だった。すごく落胆したタイミングもあった。でも、私はどんな状況でもギブアップしないタイプ。戦い続けられると信じていた。でも、ときには上手くいかないときやモティベーションが上がらないときもある。でもすべては自分次第。その瞬間に流されるのか、受け入れて自分でコントロールするのか。その点では自分はよくやってきたと思う。難しい状況から這い上がってきた。そして前を向いている」
今年は勝てそうな状況から逆転されるなど、いろんな経験をしてきた。そんな中で今夜の試合は最後に3つブレークポイントを凌いで勝利した。これに何か意味があるのか?
「そこはよくも悪くも判断できる。この結果を受けて単に前に進むこともできる。でも、今日の試合で自分にとってより重要なのは、自分がそのときどきにどうプレーできたか、どうプレーしたかったか、それが助けになったのかどうかということ。過去の試合で勝利目前から勝てなかったときは、その瞬間に自分がすべきことよりも、勝つという結果のことを考え過ぎていた。そこからの変化は重要なことだった。勝つことと勝てないことは時に感情の高まり、低下でもある。大事なのは実際に自分が何をするか。そのほうが自分は安定したプレーができる」
アザレンカは決勝で、第21シードのバドーサと対戦する。(テニスマガジン)
写真◎Getty Images
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