「人生は思い通りにいかないから面白い」フレンチ・オープン1回戦でアニシモワに敗れた大坂なおみ

フレンチ・オープン1回戦でアマンダ・アニシモワ(アメリカ)に5-7 4-6で敗れた大坂なおみ(フリー)(Getty Images)


 今年2つ目のグランドスラム大会「フレンチ・オープン」(フランス・パリ/本戦5月22日~6月5日/クレーコート)の女子シングルス1回戦で、大坂なおみ(フリー)は第27シードのアマンダ・アニシモワ(アメリカ)に5-7 4-6で敗れた。

「一生懸命やった。でも少し不運だった。この大会に向けてたくさん試合ができなかった。その影響で、この試合で判断が悪いときが結構あったと思う。全体的にはそこまで悪くなかった」
            
WTA(女子テニス協会)、ITF(国際テニス連盟)のメンタルヘルスへの取り組みをどう評価する?

「完全に満足することができることはなく、いつでももっとできると思う。一度やったからといって終わりではないから。改善の余地はいつでもある。でも、今のところベストを尽くしてくれていると思う。私自身にも、“もっと改善できることはある?”と聞いてくれている。凄く努力してくれている」

アキレス腱の状態は?

「試合前に痛み止め飲んだ。痛みは少しあった。薬の効果が切れたあとどうなるか様子を見たい。多少の痛みがあるのは覚悟していたから、それほど心配していなかった。最後にアニシモワと対戦したとき、お互いのサービスが勝負のカギだった。でも、今大会に向けてあまりサービスをたくさん打つことができなかった。アキレス腱を守るため、ギリギリまで状態を見ながらサービスは打たないようにしていたから。ストレッチで少しよくなる感触はあったけど」

1回戦敗退はとても残念だと思うが、アニシモワが勝利を掴んだ要因は?

「実戦が足りなかった。今年はクレーコートで2試合しかプレーしていない。今年はヨーロッパでの滞在を長くして、しっかり準備しようと思っていたのに、ケガで予定通りにてきなかった。残念。でも、自分の姿勢は悪くなかった。オーストラリアン・オープンでの対戦では自分への怒りでメンタルが今日より悪かった。そのときよりは改善されたかな」

4度グランドスラム大会で優勝しているがすべてハードコート。クレーコートでは自信がそこまでない?

「私は自信がない状態で大会には出場しない。逆に私と対戦したいと思う選手が誰もいない、自分はそんな存在だと自負している。過去の結果は気にしていないと言ったら嘘になる。4つのグランドスラム大会で優勝できて、自分がまだ24歳というのは凄いことだと思う。今後もっと時間が取れて、クレーコートやグラスコートの上で練習して上達したい。クレーやグラスで育っていないし、ツアーの中でも試合経験自体がかなり少ない。これからプレーを続ける中でもっと学べればいい」


試合前にサービスを練習する大坂なおみ(フリー)(Getty Images)

敗戦のあとにSNSとどう向き合っている?

「メッセージは基本的に見ない。負けたあとは3日間何も見ないようにしている。ツイッターとインスタグラムでは、フィルターをかけて認証した人のメッセージしか見られないようになっている。負けるとたくさんニュースが耳に入ってくるから。数日待つか、まったく見ないか。前よりうまく対処していると思う。ツイッターは一番ネガティブな言葉が出るところだから、あまりツイート自体しないようにしている。以前は大きな問題じゃなかったし、自分を応援してくれる人と繋がれる貴重な場所でもある。でも、悪いメッセージもたくさん受ける。若い選手にとってはかなり厳しいと思う。私自身がすべてのメッセージを真に受けて傷ついてきた」

サービスでアキレス腱が気になった? それとも練習不足? また、ここでは多くの声援を受けられたと思う。

「私のアキレス腱は第2セットまで気にならなかった。第1セットは問題なかった。凄くいいリターナーが相手だから、いつもより狙い過ぎたかもしれない。練習も十分ではなかったかも。スタジアムのファンには感謝している。物凄くエネルギーを感じられた。負けたけど、皆の前でプレーできて楽しかった」

グラスコートのプランをどうするのか? ウインブルドンでポイントが加算されないことも影響もある?

「ここでの結果は残念。もっといいプレーできればよかったのに。頭の中では、この大会でいいプレーをする予定だった。マドリッドもローマでもね。でも人生は予定通りにいかないから、ある意味面白い。でも、ここからまた考え直す。何も後悔はない。普段よりも長くヨーロッパに滞在してたくさん学べた。今大会でも学べた」

「ウインブルドンでのポイントについての決定は大きな影響がある。グラスコートには100%行くとは限らない。経験を積むためには行きたい。ポイントレスとは言わないけど、私はランキングが上がることでモティベーションが上がるタイプじゃない。決定の意図はよかったけど、いろんなところに影響があると思う」 

今日のスケジュールについて。早い時間帯に女子の試合が多く、あなたの注目の試合が早い時間に行われてしまった。イガ・シフィオンテク(ポーランド)も早い時間でビックリしたが。

「私がいつも考えているのは、この試合の時間は、日本で何時なのかということ。錦織圭(フリー)の試合時間も早かったし、自分もそうなるとわかっている。イガの試合が早かったのはかなりビックリした。あまり試合時間を気にしていないけど、女子だから早くなったということははないと思う」 

グラスコートとクレーコート、どっちのほうが難しい?

「グラスコート。そこで悪いケガをしたから、怖さがある。恐怖を乗り越えないといけない。ポイント問題がどうなるか見てから自分の予定を決めたい。ポイントによって状況が大きく変わるから」

ヨーロッパのシーズンで、クレーコートでもグラスコートでも最高のテニスができていないが、どう感じている?

「もっと若いときはほとんど考えていなかった。”3回戦にいってよかったね”と皆が教えてくれるけど、どの大会でも3回戦にはいけている。ウインブルドンで3回戦にいってビーナス・ウイリアムズ(アメリカ)と対戦して勝つチャンスがあるほどいいプレーができた。その翌年はアンジェリック・ケルバー(ドイツ)と対戦したけど、彼女がそのまま勝ち上がって優勝した。今後も全力でトライし続けて、自分が望むようなチャンスを手にしたい。この2つのサーフェスでよくないとは、今後はもう自分に言わないようにする。集中してやっていくしかない。それが今年ずっとやってきたことだから。すべてのことが同時によくなることは考えにくい。徐々によくなっていくものだと思う」

人生で一番大事な試合をするのならクレー、グラスどっちがいい?

「恐らくウインブルドン。クレーよりもグラスコートでの大会をよくテレビで観て育ったから。一番権威の高い大会として皆が扱っているのもある。だからグラスコートかな」
                                                                                          
マイアミのときに来年1位に返り咲くことが目標と言っていた。しかし、今大会のようにシードがないと強い選手と早く当たる。今後、世界一に返り咲くためにランキング、どの大会に出るのか、どんなプランを考えている?
 
「シードがない、トップ10ランキングがないとこういう厳しい状況になる。その事実は認めているし、その事実が前に進む原動力にもなっている。私が他の選手ほどたくさんの大会に出てないのも事実。でも現状は、望んでいないような選手との対戦になることもある。自分がやってきたことの結果が今の現状。でもナンバーワンは来年に向けてとても大きなゴール。今年の終わりには、できれば目標に近づきたい。今は自分の状態に満足している。昨年どんな気持ちでフレンチ・オープンを去ったかをよく憶えているから。今大会はファンの前でプレーできて本当にうれしい。昨年と比べて大きな違いだった」

ウインブルドンに出る出ないは、ランキングポイント関係なしに、どうやって決めますか?

「何故かわからないけど、ウインブルドンにポイント無しで出場するならエキシビションみたいだと思ってしまう。それが真実でなくて、私の脳が勝手にそう感じてしまう。エキシビションだと、100%を出しきれない。まだ決めてはいないけど、今の状況では出ない方向に傾いている。それが今後変わるかもしれない。グラスコートでの経験を積みたい気持ちもあるから。他のグラスコートの大会ではポイントがもらえるから、それは自分にとってプラスになる。今年グラスコートでこれ以上プレーしなかったら、ハードコートで物凄く頑張らないといけない。私の一番好きなサーフェスでね。まずはよくチームとよく話し合って決めたい」

ファーストサーブがあまり入らなかったのは、相手のリターンがいいから、それともアキレス腱の状態による? どっちの影響が大きい?

「正直に言って、彼女のリターンはファーストサーブのときはあまり気にならなかった。セカンドのときは多少気になったけどね。オーストラリアのときのほうが、相手のリターンが気になっていた。クレーコートのほうがボールが遅く、追いつくための時間があるから。ファーストサーブの確率が悪かったのは、練習が足りなかったから。リズムが全然掴めなかった」

ポイントを落としても落ち着いていたように見えたが、どう意識してプレーしていたのか?

「今年はいろいろ学んだ。オーストラリアで彼女と対戦してナーバスになって心配になって、プレー中に出てきて欲しくない感情ばかりだった。その後のインディアンウェルズは置いておいて、マイアミでは落ち着いてすべてのポイントで最高の自分を出そうとして決勝にいけた。そのメンタリティを今後も維持しようと思っている。練習でもベストを尽くしていく。キャリアの終わりに、“彼女はすべてのポイントでベストを出し尽くした”と言ってもらえるようにしたい。私よりも才能のある女子はこれから1000万人も出てくる。それでも人々から“彼女は楽しんで、ベストを尽くしたんだからいいじゃん!”と言われるようになりたい」

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写真◎Getty Images

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