「アンパイアは歳を取り過ぎている」キリオスがアンパイアとアンダーサーブを語る [ウインブルドン]

ウインブルドン1回戦途中にアンパイアを言葉を交わすニック・キリオス(オーストラリア)(Getty Images)


 今年3つ目のグランドスラム大会「ウインブルドン」(イギリス・ロンドン/本戦6月27日~7月10日/グラスコート)の男子シングルス1回戦で、ニック・キリオス(オーストラリア)がワイルドカード(主催者推薦枠)で出場した世界ランク219位のポール・ジャブ(イギリス)に3-6 6-1 7-5 6-7(3) 7-5で勝利した。

「典型的な1回戦。何度もグランドスラム大会の1回戦で5セットを経験してきた。ジェットコースターのような試合だった。勝ち抜けて満足している。何度も敗戦の危機にあった。ラッキーなショットもあったが、何とか勝利できた」

タフな試合だった。第5セットを勝ちきるのに、どれほど自分がメンタル面で成熟していたと思う?

「メンタル面ではウインブルドンで戦った試合の中でも一番厳しかった。スタジアムすべてが彼を応援していて、俺もそれを感じていた。彼はランキング200番台だが、思い切り自由にプレーして、そんなレベルじゃなかった。その困難な状況を乗り越えて、勝者としてここに座っていることは誇りに思う。数年前なら負けていたかもしれない。もう1試合コートに出て、今日よりもいいプレーを見せるチャンスがある。プレーレベルでいったら、最低の試合だった。ボールの感触もサービスもよくなかった。1時間半くらいは最低のプレーだった。この3年間で最低の試合だった。何故か、勝てた。もちろん、いくつかの問題は彼によるものだった。サービスがよく、俺の弱点であるフォアハンドのボディを狙ってきた。いいショットを打ったし、いいプレーをした。難しい試合だった」

ラインジャッジに不満があったようで、“もう90歳を超えているんだから、正確に見える訳がない!”と抗議していた。

「いや、そうじゃないんだ。ほとんどのアンパイアは歳を取り過ぎている。テニスでは理想的ではない。実際、若い人のほうがよく見えるはずだ。凄く理にかなったことを言っていると思うよ。100万ドル、1000万ドルが懸かった試合では、本当に正確なジャッジができる人が必要だ。若いほうがボールをよく見えるだろう? 俺はコート内にボールを打った。だが、その老人はアウトだとコールした。実際は入っていた。彼がもし40歳なら、アウトとは言わなかったはずだ」

でも彼は60歳で凄く視力がいいかもしれない。

「でも今回は間違ったコールをしたんだ」

ラインジャッジに対して同情する気持ちはある? 選手からいろんなことを言われる立場だ。

「深い話になるな。例えば、俺がミスジャッジの影響で負けても、彼らがSNSで批判されることはない。俺のガールフレンド、家族、俺もヘイトメッセージをたくさん受け取っている。みんな何とか対処している。マイアミの試合でも、一つの判定で形勢が完全に逆転した。彼らは試合を進めればいい。でも俺は裏でもっと大変なんだ。俺がイライラしてアンパイアを批判すると、俺が試合に負けると、どのくらいSNSで批判されるのか、君らにはわからないだろう。でもアンパイアはそんな経験をしなくていい。彼らがどんな経験をするんだ?」

それでも彼らに同情する気持ちはある?

「時速227kmのサービスを彼らに当ててしまったら、“ゴメン、大丈夫?”と声をかけるさ。でも、彼らが間違ったコールをしたら、それに対してどうして俺が同情するんだ? その一つのコールに大金が懸かっているんだ。同情など要らないだろ。意味がわからない」

アンパイアは批判されることがないと言った。彼らと直接話して理解しようとしたことはある?

「じゃあ、俺のインスタグラムとアンパイアのインスタグラムを見ればいいさ。彼らが同じだけのヘイトメッセージを受け取っているとは到底思えない。俺のインスタグラムの中には、本当に汚い言葉がたくさん出てくる」

今落ち着いている状況で、試合中にラインジャッジに対して“コソ泥”と言ったことを後悔している?

「いいや。何故? 彼女はアンパイアのところへ行き、俺が言ってもいないことを伝えた。密告者か? 多くの観客が満員のスタジアムでニック・キリオスと相手選手を観にきている。その中で、彼女は30-0でアンパイアのところへ行くのが適切だと思ったのだろう。誰も彼女のことなど観にきていないのに」

アンディ・マレー(イギリス)がアンダーサーブを打って話題になっている。君も打つが試合にどんな影響を与えると思う? 戦術的に利用することもあるが。

「初めて打ったのは、アカプルコでのラファエル・ナダル(スペイン)戦だ。当時の周囲の反応は、“敬意を欠くプレーだ。何故あんなことをするんだ?”と批判的だった。今それを打つと“なんて賢い選手なんだ?!”と言われる。何てことだ! ラファを相手に3時間戦って、ポイントを取れないところで、アンダーサーブを試してみたんだ。今は皆がやっていて、“天才だ!”なんて称賛される。皆がポイントを取る違った方法だと理解し始めているのはうれしいけどね」

 キリオスは2回戦で、第26シードのフィリップ・クライノビッチ(セルビア)と対戦する。

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写真◎Getty Images

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