ボンドルソバが自分でも驚きのグランドスラム初優勝「考えたこともなかった」 [ウインブルドン]
今年3つ目のグランドスラム大会「ウインブルドン」(イギリス・ロンドン/本戦7月3~16日/グラスコート)の女子シングルス決勝で、ノーシードから勝ち上がってきたマルケタ・ボンドルソバ(チェコ)が第6シードのオンス・ジャバー(チュニジア)を6-4 6-4で下してグランドスラム初タイトルを獲得した。
先にサービスダウンを喫したボンドルソバは2度に渡ってリードされながらその都度追いつき、2-4から4ゲームを連取して第1セットを先取すると第2セット第1ゲームもブレークした。ジャバーはすぐさま追いついて流れを止めると3-1と先行したが次のサービスゲームをキープできず、4-4からブレークに成功したボンドルソバがサービング・フォー・ザ・チャンピオンシップを問題なくキープして歓喜の瞬間を迎えた。
過去4度のウインブルドンで1勝しかしたことがなかった世界ランク42位のボンドルソバは、「今この瞬間に一体何が起こっているのは本当にわからない。素晴らしい気分だわ。昨年のこの時期は(手術をして)ギプスをつけていた。今ここに立っていられるなんて驚くべきことだわ」と表彰式で話した。
フレンチ・オープンで準優勝を飾った2019年に自己最高14位をマークしたボンドルソバは、それから頻繁にケガに見舞われ安定した成績を残すことができないでいた。手首のケガに悩まされていた彼女は昨年に2度目の手術を受け、約6ヵ月の戦線離脱を余儀なくされていた。これまでグラスコートでは実績がなく、ツアーレベルで4勝12敗という戦績で今大会を迎えていた。
「復帰したときはもう一度あのレベルでプレーできるのか、何が起こるのかまったくわからなかった。だからこそあり得ないようなことに思えるの。以前はグラスコートでいいプレーができておらずウインブルドンはもっとも難しいグランドスラム大会だと思っていたから、優勝なんて考えたこともなかったわ」とボンドルソバは試合後の記者会見で語った。
「ここに来たときは『何試合か勝てるように頑張ろう』という感じだった。それなのに今はこんなことになってしまった。クレイジーよ」
ウインブルドンの同種目でノーシードの選手が決勝に進出したのは、1968年のオープン化以降で初の快挙だった。
同じチェコ出身のレフティーでウインブルドン最多記録となる9度の優勝を誇るレジェンドのマルチナ・ナブラチロワ(アメリカ)は、ロイヤルボックスからこの新チャンピオン誕生劇を見守っていた。同国の選手では1998年にヤナ・ノボトナ(チェコ)が、2011年と14年にペトラ・クビトバ(チェコ)がここで栄冠に輝いた。
「コーチのヤン・メルトル(チェコ)が決勝のあとに『君の冷静さは信じられないほどだった』と言っていたわ。それがこのタイトルを獲ることができた主なカギだと思う。私は信じ続け、落ち着きを保ち続けた」とボンドルソバは勝因を挙げた。
一方でグランドスラム決勝で3連敗を喫したジャバーは涙と失望を隠せず、「本当に辛い。これは私のキャリアの中でもっとも辛い敗戦だと思う」と試合後に心中を率直に吐露した。
「望んでいたことがあと少しで達成できると感じていたのに、また振り出しに戻ってしまうのだから」
写真◎Getty Images
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