ロジャー・フェデラーは35歳のとき、いかにその「強さ」を取り戻したのか?
テーマ1|テニス愛
「今、最高のときを過ごしている。本当に素晴らしい時間だ」と、フェデラーはESPNマガジンのインタビューに答えた。「自分が出場したい大会にだけ参加することができ、そのプロセスをとても楽しめている。大会に出場してプレーすることも大好きなんだ。トレーニングしている時間も本当に楽しい。トレーニングを休み、休暇をとっているときも、その瞬間、瞬間を楽しんでいる」
もし自分がロジャー・フェデラーだったとしたら、人生で楽しくないことなどないはずだ。何と言っても、プロのアスリートとして驚愕すべきことに、36歳(8月8日が誕生日)になってもまだキャリアの絶頂期にいるのだから。
「私が今まで見た選手の中で、彼ほどテニスを愛し、楽しんでいる選手はいない」とフェデラーを表現するのは、1980年のオーストラリア・デビスカップ優勝メンバーの一人であり、フェデラー、アンドレ・アガシ、そして現在はシモナ・ハレプのコーチを務めるダレン・ケーヒルだ。
「私が今まで見た選手の中で、彼ほどテニスを愛し、楽しんでいる選手はいない」——— ダレン・ケーヒル
ウインブルドン決勝の舞台に現れたフェデラーの家族、2組の双子の子供たち
ウインブルドン優勝を祝うパーティへ出席したフェデラーと妻ミルカ
テーマ2|家族のサポート
フェデラーはセンターコートで多くの喜びの涙を流してきたが、今回ウインブルドンでの涙には、自分でも驚いたようだった。
「あんな気持ちになったのは初めてのことだった。ふたたびウインブルドンで優勝し、偉大な記録を塗り替え、その喜びをいっしょに分かち合える家族がいたからさ。娘たち(マイラ、シャーリーンともに8歳)だけでなく、息子たち(3歳の双子の兄弟、レオとレニー)も来られた。だから本当にうれしかった。あの場所に立つためにどれほど気合いが入っていたのかも、あの瞬間に自分で気づいた。いろいろなことが重なって、あのようになったんだよ」
家族を何よりも大切にするフェデラーはウインブルドンで、あと何年トッププロとしてキャリアを続けるのかと聞かれ、「妻のミルカと、家族について、子供たちについて相談することになる。“みんなはツアーに出てハッピーなのか?”とね。現状は素晴らしいことに、何の問題もなく、すべてうまくいっているよ」と答えた。
彼女がフェデラー家の中で大きな権力を握っており、フェデラーのキャリアがいつまで続くのかを決められるのだ。
「彼女がいなければ、到底ここまでやってこられなかった。彼女が“もうこれ以上旅行をしたくない”と言ったら、“OK、じゃあ僕は引退しよう”と即答するだろう。それほどシンプルなんだ。彼女が僕のキャリアのカギを握っている。子供4人を連れて旅行に出るのはたいへんだけど、彼女は今それを楽しんでくれている。
もちろん、すべての大会に来てくれるわけじゃない。今季はシュツットガルトとハレにはひとりで行ったよ。今はここ(ウインブルドン)で全員が揃い、素晴らしい時間を過ごしている。彼女のサポートは計り知れないよ。彼女は最高さ!」
19度目のグランドスラム優勝を家族の前で成し遂げたフェデラーの目には涙が光った
テーマ3|ファンのサポート
「観客が勝敗を分ける存在だと思わない人がいるならば、その人はまだテニスを十分に観戦する経験が足りないのだろう」と指摘するのは、80年代のスーパースター、ジョン・マッケンローだ。デビスカップを敵地で戦う以外は、世界中どこへ行っても大きなホームアドバンテージがあることを想像してみてほしい。それが当てはまるのは世界でただひとり、フェデラーだけなのだ。ATPワールドツアー.comで14年連続でファン投票1位になったその人気はとてつもないものである。
まったくの静寂に包まれるシーンもあれば、観客が大きな声で選手を応援することもあるスポーツで、ほとんどの大会で99%のファンがフェデラーを応援しているようだ。フェデラーのプレーにうっとりするファンは、「見たか! 今のショット!」というようなプレーで、さらにエネルギーを増幅させ、応援のテンションを上げている。
彼の試合中や練習中にはこんな看板が掲げられている。
「静粛に! 今、天才がプレー中だから!」
「14年連続でファン投票1位の人気者には、世界中どこへ行っても大きなアドバンテージがある」 ——— ポール・ファイン
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