ロジャー・フェデラーは35歳のとき、いかにその「強さ」を取り戻したのか?
テーマ14|努力と才能
ウインブルドン決勝を終えたフェデラーは「自分はすごく才能に恵まれているとは思う。でも、そのためには努力もした。才能だけでは限界があるんだ」と言った。この哲学は過去のチャンピオンたちにも当てはまる。ロッド・レーバー、マーガレット・コート、ナブラチロワ、現在ライバル関係にあるナダルやジョコビッチ、ほかのスポーツのスーパースターではマイケル・ジョーダン、クリスチアーノ・ロナウド、モハメド・アリ。
フェデラーはとてつもなく高温なドバイで厳しいトレーニングを行うことでも知られている。彼はドバイが2番目の家だと常々言っている。
発明家のトーマス・エジソンの言葉。「天才は1%のひらめきと99%の努力」。
才能あふれるフェデラーでさえも、何年も努力を続けてきたから今があるのだ。
「自分はすごく才能に恵まれているとは思う。でも、そのためには努力もした。才能だけでは限界があるんだ」——— ロジャー・フェデラー
テーマ15|勝つことの喜び
今季、フェデラーはトップ10選手に対して9勝0敗。トマーシュ・ベルディヒ、錦織圭、スタン・ワウリンカ、ナダルをメルボルンで倒し、インディアンウェルズでナダルとワウリンカ、マイアミでナダル、ウインブルドンではラオニッチとチリッチに勝利した。
今年31勝2敗で勝率93.9%と凄まじい数字を残している。7大会に出場して5大会で優勝。そのうち4つはオーストラリアン・オープン、ウインブルドン、インディアンウェルズ、マイアミとビッグイベントばかりだ。
「人生最高のことを達成したとき、それをやめたくなくなるものだ。私にとってはそれがテニスだ」とフェデラーは過去に言ったことがある。
8月に、アメリカのハードコート・シリーズで“ロジャーの復活”は再開され、そのクライマックスはUSオープンでやってくる。シーズン最後のグランドスラムを彼は5回制している。しかし、最後に勝ち獲ったのは2008年のこと。36歳でその偉業を達成するのは困難だろう。ただ、彼は今年1月にオーストラリアで勝ったとき、ハードコートで優勝したのは2010年以来のことだったのだ。
6度目のUSオープン優勝は多くの記録を生む。まず、オープン化以降の優勝記録ではサンプラス、ジミー・コナーズの5回を上回り、単独1位となる。6度目の年間ランキング1位はサンプラスに並ぶ最高記録。アンドレ・アガシの年間1位の最年長記録も上回る。そして、1シーズンに3つのグランドスラムを獲れば、それは2007年以来のこととなる。
最高のシーズンを送っているフェデラーは、さらに大きなことを成し遂げるのだろうか? 「今年3つもグランドスラムを獲る? 冗談だろ?」とCNNのインタビューにフェデラーは答えた。
「コンディションがよければ、USオープンでいい成績を残せるかもしれない。でも優勝となると……。どこかで現実を見なければならないと思う。もう私は25歳ではないんだ。一年で3回もグランドスラムで勝つ自信はない。2つ勝っただけでも、とんでもないことだし、かなり満足しているよ」
彼の発言を鵜呑みにしてはいけない。偉大なチャンピオンは満足することなどありえないのだ。彼らはいつでも勝利に飢えている。そしてフェデラーは史上最高のチャンピオンなのだ。
「偉大なチャンピオンは満足することなどないのだ。彼らはいつでも勝利に飢えている。だからフェデラーも勝利に飢えている」——— ポール・ファイン
今年最後のグランドスラム、USオープンでフェデラーが優勝する可能性は?「ある!」
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