ロジャー・フェデラーは35歳のとき、いかにその「強さ」を取り戻したのか?

テーマ11|ビッグポイント

 マルチナ・ナブラチロワは、「テニスはビッグポイントでいいプレーができるかどうかが問われるスポーツ」だと言う。

 今年、フェデラーほどビッグポイントに強い選手はほかに見当たらない。ATPが公表するプレッシャー下での勝利ランキング(アンダー・プレッシャー・レイティングⒸ)でもフェデラーは258.9ポイントでトップとなっている。

 このデータは4つの要素から割り出される。(1)ブレークポイントでブレークした確率、(2)ブレークポイントをしのいだ確率、(3)タイブレークに勝った確率、(4)最終セットに勝った確率。フェデラーは今季タイブレークで16勝5敗、グランドスラムのタイブレークは6勝1敗。グランドスラム(5セットマッチ)での最終セット、マスターズ1000(3セットマッチ)の最終セットは5勝0敗だ。キャリアを通してブレークポイント獲得率は、驚くことに非常に低いパーセンテージだが、今年に入ってからこの点は向上しており、40.9%まで上げている。

「今年のフェデラーほどビッグポイントに強い選手はほかに見当たらない」 ——— ポール・ファイン


今年のフェデラーはとにかくビッグポイントに強いところを見せている

テーマ12|ほかのチャンピオンたちに認められること

 過去、現在の偉大な選手たちから常々受ける、高くそびえ、エゴをおだてるような言葉は過小評価してはならない。

 長くライバル関係にあるジョコビッチは「完璧なプレーなど永遠にできないものだと思うが、フェデラーならできるかもしれない」と最高級の賛辞を与えた。セレナは「彼は歴代最高の男性アスリート」と称賛し、サンプラスは「もっとも偉大な選手は誰かって? フェデラーだよ。ナダルが何度か彼を倒したじゃないか、と批評家は言うかもしれない。それでも僕の中では彼が歴代ナンバーワンだ」。

 マッツ・ビランデルは面白い表現を使った。

「あのように華麗にプレーするのはどんな感覚なのか知るために、一度彼のシューズの中に入ってみたいものだ」

 これらのフェデラーを称える言葉はほんの一部のもの。このほかにもメディア、コーチ、ライバル選手、ほかのスポーツ選手など、多くが彼を絶賛している。

「完璧なプレーなど永遠にできないものだと思うが、フェデラーならできるかもしれない」——— ノバク・ジョコビッチ

テーマ13|幸運

 スーパースターも、時には運が必要だ。フェデラーの幸運は今年のオーストラリアン・オープンで始まった。プレクシクッション・アクリルのサーフェスは球足が速く、ボールが軽かったと多くの選手の意見が一致していた。どちらの要素もフェデラーの攻撃的なスタイルをより一層際立たせる。もうひとつ加えると、ナダルとの5セットにもつれた決勝の前に、ナダルよりも一日多く休養があったことだ。

 しかし、フェデラーにとってもっともラッキーだったのは、アンディ・マレーとジョコビッチの両者が劇的な不調に陥ったことだろう。彼らは2016年シーズンを終えたとき、3位のラオニッチと大差をつけて、トップ2を独走していた。その頃、フェデラーとナダルは長期にわたり離脱し、16位と9位に甘んじていた。

 現在、マレーは何とか1位を死守しているが、ナダルがすぐそこまで迫っている。あまりに受け身にプレーすることが多い30歳のイギリス人は、今年に入ってトップ8の選手に一度も勝っておらず、今年唯一のタイトルは5ヵ月前のドバイだけ。

 ジョコビッチに至っては、ATP250のドーハとイーストボーンで優勝しただけで、ウインブルドンの準々決勝では右肘の故障で棄権を余儀なくされた。「プレーすればするほど悪くなる一方だ」と発言した後、7月26日にジョコビッチは右肘のケガのため、残りのシーズンを欠場すると発表した。

「スーパースターには運がある。攻撃的なスタイルを際立たせるオーストラリアン・オープンでのサーフェス。ナダルとの決勝前に、ナダルより一日多い休み。マレーとジョコビッチの不調——— ポール・ファイン

オーストラリアン・オープン表彰式で、優勝したフェデラーと準優勝のナダル、そして中央には年間グランドスラムを2度達成しているロッド・レーバー


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