内山靖崇「50の質問」ツアー再開後のトップ50入りは十分にチャンスがある|Player File 2
「世界ランク50位に入れば、また違う世界が見えてくる」
――では自分のテニスのスタイルをどう自己分析していますか。
内山 アグレッシブに攻める!
――その中でどんな展開でポイントを取ったときが一番気持ちがいいですか。
内山 サービスエースはもちろんうれしいですけど、流れの中からボレーで決めるポイントが一番うれしいですね。
――では一番悔しいポイントの取られ方、失い方は。
内山 昔からなんですけど、ドロップショットを決められるのが一番イヤです。
――自分のメンタル面を自己分析すると。
内山 先行逃げ切り型で、駆け引き上手な相手は得意じゃない。それでも19年のウインブルドンの予選決勝ではセット1-2から逆転しましたし、楽天ジャパンオープンでのアボット戦もそう。得意じゃない展開を乗り切れたのは自信になっています。
――それでは技術面で改善したい点はどんなところでしょうか。
内山 リターンですね。ツアーレベルではチャレンジャーレベルに比べてブレークできるチャンスが減る、簡単なミスをしてくれない。リターンミスをしていたらブレークチャンスなんて一生やってこない。リターン力を上げるのは必須です。
――一番の武器はやはりサービスだと思いますが、自分で特徴を分析すると。
内山 まずは打った後のバランスですね。今はある程度しっかりバランスを保ったまま前を向けています。これが左に流れていたりするときはあまり状態がよくない。特徴的なのはグリップだと思います。ほかの人よりもかなり薄い。220キロ、230キロのサービスが打てるわけではないので、サービスを武器にするためにはスピードよりコースや回転量、精度といったところにフォーカスしています。
――セカンドサービスへのアプローチはいかがでしょうか。
内山 セカンドサービスでは、攻めるというよりスピンを駆使して相手に気持ちよく打たせないことを考えています。そのためにも「セカンドになったらピンチだ」と思わずにすむだけのサービス力が必要になる。ファーストサービスの確率は6割くらいが普通だし、5回に2回のセカンドをピンチだと思っていたら、なかなかサービスキープは続けられないですから。
――19年から増田健太郎コーチに加えて鈴木貴男コーチをチームに招いたのは、やはりサービスをさらに進化させたいという意味もあったのでしょうか。
内山 健太郎さんには自分をよく理解してもらっているし、阿吽の呼吸のようなものがありますが、そこに新鮮な刺激が欲しかった。新しいものは貴男さんからもらい、その中で全体の土台を健太郎さんに整えてもらっています。僕はストロークの安定感がなかったので、その部分を健太郎さんとずっと取り組んできました。そこからもっとレベルを上げるためには、あらためて自分の武器であるサービスとネットプレーを磨こうと思い、貴男さんに加わってもらいました。同郷でもありますし、僕がテニスを始めた当時から日本のトップでやられていた方。アドバイスもスッと入ってきます。
――サービスに限らず鈴木コーチのテニスの知識は豊富ですから、いろいろなアドバイスをもらえていますか。
内山 貴男さんはすごくテニスの話をするのが好きじゃないですか。コーチについてもらう前から、テニスの話になると延々、話している(笑)。その中でサービスの話になったときに、「ここはこうしたほうがいい」「この人のサービスはこう」とか、いろいろな話を聞かせてもらって、それがすごく新鮮で自分の知識が広がっていく感じがした。もちろんサービスは全然、今のままでは満足していないですし、もっといろいろ学びたいと思っています。
――2020年はシーズン早々、新型コロナウイルスの影響でツアーが中断してしまいましたが、どんな思いで過ごしていましたか。
内山 徐々に調子が上がってきていて、オリンピックもあったので気合いが入っていたんですけど、プロ10年目のシーズンでちょっとハーフタイムかなという(笑)。もちろんシーズンが続いていたらよかったですけど、ランキングの低い若手だったり、一年一年が勝負のベテランの選手に比べれば、シーズンが中断することに対する整理はつきやすかったかなと思います。
――今後の目標は。
内山 まず東京オリンピックに出たいというのは変わらない目標です。2013年に開催地が東京に決まったときから、何としても出たいという思いでやってきましたから。延期は残念でしたが、まずはそこですね。オリンピック以外では50位を目指したい。今だったら自分の状態が上がれば、トップ50入りは十分にチャンスがある。100位になる前も、100位になったら見える世界も変わると思ってやっていました。今度は50位を入ればまた、その先の課題や目標が見えてくると思うし、必要なトレーニングや強化すべきショットも変わってくると思いますから。
取材・構成◎杉浦多夢
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