綿貫陽介「50の質問」早くツアーの舞台で活躍する姿を見てもらいたい|Player File 9
「50の質問」で選手たちの素顔に迫るスペシャルインタビュー企画。今回、登場してくれるのはテニス一家に生まれ育ち、日本男子の次代のエース候補にまで成長を遂げた綿貫陽介だ。(テニスマガジン2021年3月号掲載記事)
(※掲載時のまま)
わたぬき・ようすけ●1998年4月12日生まれ。埼玉県出身。物心ついたときからラケットを握り、2013年全中準優勝をはじめ世代のトップグループのひとりとして活躍。プロ転向を果たした2016年は全日本ジュニアU18、世界スーパージュニアで優勝を飾ると、全日本選手権も制するなど鮮烈なデビューイヤーとなった。以降も着実に成長を続け、2019年兵庫チャレンジャーでは念願のチャレンジャー初優勝。ツアーの舞台で戦う準備を着々と整えている。世界ランク自己最高は単171位(2019年3月18日付)、複374位(2019年1月7日付)、最新ランクは単252位、複599位(2019年1月11日付)。日清食品所属
取材・構成◎杉浦多夢 写真◎アシックス提供、本人提供、BBM
「小さいときは純粋にテニスが楽しくて楽しくて。楽しいという感情しかなかった」
Q1 テニスは何歳から始めましたか?
「2、3歳だと思うんですけど、憶えてないですね。両親がテニスコーチで長男の裕介、次男の敬介と2人の兄もテニスをしていたので、物心ついたときにはラケットを握っていました。ラケット以外は握ったことがありません(笑)」
Q2 最初のコーチでもある父親はどんな存在でしたか?
「とにかく厳しかったです。今も兄の敬介にコーチをしてもらっているのですが、当時はお父さんとして見ることができない瞬間もあったり、家族にコーチをしてもらうことの難しさも感じました」
Q3 それでもテニスは好きだった?
「そのときは純粋にテニスが楽しくて楽しくて。今もテニスは好きですけど苦しいときやつらいときもある。小さいときは楽しいという感情以外ありませんでした」
Q4 どんなところに楽しさを感じていた?
「ラケットにボールが当たるだけで楽しいし、それをコートの中に入れないといけない。テニスってやっぱり難しいと思うんです。難しいからうまくできたときに楽しいし、上達も実感できる」
Q5 2人の兄の存在も大きかった?
「昔はちょっと憎いというか(笑)。兄弟3人とも負けず嫌いでテニスでも勝負事になることは多かったのですが、もちろん一番下の僕は簡単には勝てないですから。でも、2人とも普段はすごく優しいし、かわいがられていたと思います」
次男の敬介(写真中)は現在もコーチとして支えてくれている。左は20年上旬に海外遠征に同行したトレーナーのリーランド・スナイダー
Q6 現在はコーチを務める敬介の存在は?
「兄も選手だったしすごく負けず嫌いだった。もし自分が兄だったら、弟に選手として上に行かれるのは嫌だと思ってしまうかもしれない。その中でいろいろサポートしてくれている。敬介だけでなく、家族に対しては感謝しかないです」
Q7 実家がテニスクラブ(現スマイルテニスカレッジ)であることも大きい?
「自粛期間であってもいざとなればコートがあるということは大きいし、小さい頃から練習していた環境にたまに帰ると身が引き締まると同時に落ち着く。本当の意味でのホームだなと思います」
Q8 ジュニア時代に一番思い出に残る大会や試合は?
「ジュニア最後の年(2016年)の全日本ジュニアのダブルスですね。2年連続準優勝で終わってしまって悔しかった」
Q9 負けた試合が一番思い出に残る?
「小さい頃から一緒に練習していた木元風哉(現早大4年)とパートナーを組んでいたんですが、彼がもしかしたら大学ではもうテニスをやらないかもしれないと言っていて。どうにかして優勝したいと思っていたのに2年続けてそれが叶わなくて。今、思い出しても悔しいです」
16年全日本ジュニアU18ではシングルスで初の全国タイトルを手にしたが、敗れたダブルスのほうが記憶に残る。右が木元
Q10 同大会ではシングルスで初の全国タイトルを手にしましたが?
「同い年には宮本大勢、山中恭平、千頭昇平など強い選手ばかりだったし、ジュニアデ杯とかの代表に選ばれたこともない。全然弱い部類だったのでなかなか全国タイトルは獲れなかったので、もちろんラストチャンスで優勝できてうれしかった。でもやっぱり負けた記憶のほうが残っています」
Q11 プロ転向を果たした16年は飛躍の年でしたが振り返ると?
「南米遠征ではブラジルでジュニアのグレードA大会に優勝できて、帰国してすぐに国内フューチャーズで2大会連続優勝できたのは自信になりました。だから全日本ジュニアも初の全国タイトルでしたけど『勝たなければ』というプレッシャーのほうが大きかったです」
Q12 2016年はそのままの勢いで全日本選手権に優勝できたことも大きかった?
「自信を持ちながらも、やっぱり優勝できるとは信じ切れていない自分もいたので、本当にびっくりしたというか。すごくうれしかったですし、プロとして良いスタートになりました。一度にあんなに賞金をもらったこともなかったので(笑)」
2016年は18歳で全日本のシングルスタイトルを獲得。プロ1年目は絶好のスタートを切った
Q13 ラケットのメーカーは?
「バボラさんのピュアドライブです。最初に打たせてもらったときは“魔法のラケット”じゃないかと思いました(笑)。振り抜いたときは食いつきがいいので飛び過ぎないし、飛んでほしいときはパワーをくれます」
Q14 シューズ&ウェアのメーカーは?
「アシックスさんです。ウェアも今年からお世話になっています。日本のメーカーだけあって機能は抜群だし、ウェアもデザインや種類がたくさんあるので重宝しますし、気に入っています」
Q15 趣味は?
「やっぱり車ですね。練習やトレーニングに行くときも含めて、ひとりでドライブする時間は大好きです」
Q16 好きな場所は?
「これも車の運転席です。到着しても車の中でメールの返信をしたり、ボーっとしたり。ちょっとした作業をしたり、気持ちを落ち着かせる時間になっていますね」
Q17 特技は?
「ないですね、テニスしかない(笑)」
Q18 テニス以外で得意なスポーツは?
「本当に不器用でテニス以外、何もできないんですよ。ほかのスポーツをすれば必ずちょっとしたケガをするし、細かい作業をすれば何かやらかす。基本的に“やらかしキャラ”なので(笑)」
Q19 好きな食べ物は?
「なんだろう、小籠包かな。好き嫌いは多いですけど、嫌いじゃないものは全部好き! という感じです」
Q20 自分の性格を自己分析すると?
「優柔不断で天邪鬼。でも意外と周りの目は気にします。三男だからかな。兄2人がどうすると親に怒られるかというのをずっと見てきたので、そういうのはけっこう気にします(笑)」
Q21 好きな国は?
「日本! というのは反則ですよね(笑)。旅行に行くんだったらやっぱりイタリアやスペインかな。食べ物もおいしいですし」
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