フェデラー、最後のグランドスラム・タイトル [2018オーストラリアン・オープン決勝]



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ナダル、準々決勝で無念の棄権
“フェダル”決勝はならず



1シードはナダル、第2シードはフェデラー。ふたりの濃密な関係をテニスファンは「フェダル(FEDAL)」と呼んで喜ぶ。昨年は夢のフェダル決勝の実現に沸き、今年も順調に夢の再現に向かっていた。

 久々に見るタンクトップ姿がうれしい。太い二の腕が南半球の夏に鈍く光り、確かパイレーツパンツだったなどと軽口をたたいていた準々決勝、マリン・チリッチの試合は白熱した。それまでの対戦成績はナダルの5連勝で5勝1敗。しかし、今季にかけるチリッチの意気込みは一段と増していた。

「目標はグランドスラムで勝つこと、それも複数回が理想だね……」

 ナダルが先行し、チリッチが追いついた第3セット、タイブレークを奪ったチリッチは、そこからギアを上げて第4セットで逆転した。ナダルに違和感が走ったのは、このセット途中だ。トレーナーが手当てしたのは心配された膝ではなく右脚の付け根。ファイナルセットの3ゲーム目、ナダルは顔をしかめ、首を振りながら棄権を決めた。

「すごく残念だ。去年のように、12月にハードなトレーニングを積めなかった。前哨戦のアブダビ、ブリスベンをスキップして、どうにか間に合わせてきたのに……。不満は言いたくないが、ここでは前にも同じ経験がある」

 途中棄権は8度目で、グランドスラムではこれが2度目のこと。それも8年前の同じ全豪の準々決勝、アンディ・マレー戦で棄権している。

「チリッチはサーブもリターンも素晴らしかった。ショットの威力もいつも以上に良かったのは、間違いないよ」

 敗戦後に弁解しないナダルだが、この日ばかりは悔しさがあふれ、ため息まじりにサーフェスが硬いと話した。

「運営する人たちは、故障者が続出している現実を見つめてほしい。選手には引退後にも人生があるんだ。これだけ硬いサーフェスの上でプレーを続けたら、何が起きても不思議はない」

 これは大事なタイトルなのだと言ったが、チリッチを超えていれば、フェダル決勝の再現はぐっと現実に近づいていた。

 今年6月で32歳。だが、ナダルには36歳のフェデラーという目標があり、そのフェデラーの優勝はナダルにまた勇気を与えたのだろう。2月上旬、傷は癒えた、アカプルコからのツアー復帰を楽しみにしているとの元気なニュースが流れた。

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