持てる力を最大限に発揮する「メンタルセルフチェック」


 メンタルが強くなりたい――。それは誰もが望むこと。そのためには「自分を正しく知る」ことが必要です。そもそもテニスにおける「メンタル」とは何でしょうか? まずはテニスにおけるメンタルを知り、自分自身のことを知りましょう。(2020年7月号テニスマガジン掲載)


解説◎佐藤雅幸
さとう・まさゆき◎1956年、山形県生まれ。82年日本体育大学大学院体育学科研究科修士課程修了。専修大学教授(スポーツ心理学)、同大学スポーツ研究所顧問。同大学女子テニス部の監督を務め、92年は王座優勝を果たした。現在は同女子テニス部顧問。94年には、長期在外研究員としてカロリンスカ研究所(スウェーデン)に留学した。2016年4月よりHALEOスポーツサイエンスリサーチ(※掲載時のまま)

イラスト◎サキ大地

STEP1
テニスにおけるメンタルとは

 テニスにおいて「メンタルが強いから勝った」「メンタルが弱いから負けた」という言葉を聞きます。しかし、「メンタルとは何ですか?」と聞くと、「ガッツがない」「すぐあきらめてしまう」「ミスを引きずってしまう」など、人によって様々な答えが返ってきます。

 ひと言で「メンタル」といっても、そこには様々な要素が存在します。九州大学の徳永幹雄名誉教授らは、アスリートの心理的競能力を診断するためのテスト(DIPCA)を開発し、5つの因子と12尺度に分けて説明しています。例えば「ガッツがない」のは「闘争心」、「すぐあきらめてしまう」のは「忍耐力」、「ミスを引きずってしまう」のは「自己コントロール」が要因になるのです。そして「闘争心」や「忍耐力」は「自己実現」「勝利志向性」とともに「競技意欲」全体に影響を及ぼすのです。

 心はひとつですが、それは「12」それぞれの機能が統合された「まとまり」だということを知っておいてください。


(参考)
心理的競技能力診断検査:DIPCA.3
(Diagnostic Inventory of Psychological Competitive Ability for Athletes)
発行所:㈱トーヨーフィジカル 
Tel:092-522-2922  
※詳細なDIPCA.3テストを受けたい方は上記まで(2020年7月号|掲載時の情報です)


STEP2
自分の「心」を知る

 メンタルを強くするためのポイントは「自分を正しく知る」ことです。心理的競技能力は12に分かれていますが、そのすべてが弱い人などそうはいません。ある要素では強く、ある要素では弱いというように、心にも個性があります。それを一緒くたにして、「自分はメンタルが弱い」という思い込みにとらわれているのは、あまりにもったいないことです。自分を客観的に見つめることで既成概念を取り払い、乗り越えるきっかけにしていくことができます。

 そこでまずは心理的競技能力診断を利用して、検査簡易的な心理チェックをしてみましょう。自分の性格や特性、考え方や見方を知る、自分自身に意識を向けて内面を知ることによって、すべき行動、やるべき練習が見えてくるはずです。

 また同時に、家族や友人、コーチなど周囲の人にも同じようにあなたを心理チェックしてもらってください。自分と周囲の人がまったく同じように評価するということは少ないはずです。他者からの評価により、自分でも気づいていなかった長所や短所に気づくことができるでしょう。

 自己分析に加え他者からの評価も知ることで、より深く自分に対する「理解」や「気づき」を得ることができるのです。

自己分析で 「強み」「弱み」をチェック






STEP
3

メンタル セルフチェック10

 ここからはテニスにおける メンタル=12の心をベースに、 10のメンタルセルフチェックを 行っていきましょう。 持てる力を最大限に 発揮するためのヒントが 見つかるはずです。


続きを読むには、部員登録が必要です。

部員登録(無料/メール登録)すると、部員限定記事が無制限でお読みいただけます。

いますぐ登録

Pick up

Related

Ranking of articles