内田海智「50の質問」グランドスラムに出てはじめてプロのテニスプレーヤー|Player File 13
「50の質問」で選手たちの素顔に迫るスペシャルインタビュー企画。今回、登場してくれるのはデ杯メンバーにも名を連ねた未完の大器、無限の可能性を秘めた内田海智だ。(テニスマガジン2021年7月号掲載記事)
(※掲載時のまま)
うちだ・かいち●1994年8月23日生まれ。大阪府出身。5歳でテニスを始め、ジュニア時代は10年にジュニア・デ杯優勝、全日本ジュニアU16優勝、11年ウインブルドン・ジュニアと12年USオープン・ジュニアでベスト4を記録してITFジュニアランクで3位を記録。13年4月にプロ転向すると直後に拠点をIMGアカデミーに移す。以降は着実に成長を遂げ19年フレンチ・オープンで初のグランドスラム予選にトライ。21年3月にデ杯代表に初選出。さらなる飛躍を誓う。世界ランク自己最高は単237位(19年7月1日付)、複283位(16年8月15日付)、最新ランクは単338位、複817位(5月10日付)。富士薬品所属
取材・構成◎杉浦多夢 写真◎BBM、本人提供
全国選抜ジュニアの準優勝がターニングポイントになりました
Q1 テニスは何歳から始めましたか?
「父親がテニスのコーチで、家の真横がコートという環境でした。家にいても打球音が聞こえるほど。5歳くらいから打ち始めましたが、父は僕に野球選手になってもらいたかったようで、小学3年生までは野球、水泳と合わせて3つのスポーツをやっていました」
Q2 その中でテニスを選んだのは?
「野球と水泳は練習がきついんですよ(笑)。その中ではテニスが一番楽しかったし、好きでした」
Q3 テニスに専念してすぐに勝てるようになりましたか?
「小学生のときは全然勝てなかったですね。大阪で10番くらいになるのがやっと。年齢が上がって少しずつ勝てるようになってきても関西ベスト8の壁が厚かった。やっぱり小学生のときはテニスより友達と遊ぶことが大好きで、将来プロになるなんて夢にも思っていませんでした」
Q4 飛躍のきっかけはありましたか?
「中学1年生のときに全日本ジュニアで喜多元明君の試合を見て、サービスのすごさに度肝を抜かれて。『こうやって打てばいいんだ』と喜多君のフォームを真似して打つようになったらすごいサービスがいくようになりました。そこから少しずつ勝てるようになっていきましたね」
今でも武器のひとつであるサービス開眼は意外なきっかけだった
Q5 今でも武器のひとつであるサービス開眼は意外なきっかけだった?
「中学生のときからそれなりに体が大きかったので、サービスだけで圧倒できるようになった。でも、そのせいでほかが少しおろそかになってしまったかもしれない。フットワークとか、あのときにもっとやっておけば、と今になって思います」
Q6 中学2年生のときの2008年全国選抜ジュニアU14準優勝を振り返ると?
「サービスのいいイメージを持ちながら、関西予選でライバルの河内一真に初めて勝てたことがまず大きかった。そのまま全国大会でも一気に準優勝できて、松岡修造さんやナショナルコーチの方に声をかけていただけたので、僕のターニングポイントとなった大会です」
2008年全国選抜ジュニアの準優勝がテニス人生のひとつの転換点となった
Q7 松岡修造さんが見ていることは意識していた?
「意識しないわけがないです(笑)。会場に修造さんがいるだけでびっくりしていたのに、ずっと僕の試合を見ているからすごく緊張した。それでも勝ち続けることができたから少しはインパクトを与えることができたのかなと思います」
Q8 修造チャレンジ・トップジュニアキャンプに参加して刺激を受けましたか?
「世界を目指しているジュニアたちが集まっていたので、すごく刺激を受けましたね。それまで将来の目標なんてなかったのに、もしかしたら自分もプロになれるかもしれない、なりたいと思ったのはそのときでしたから」
Q9 ジュニア時代に思い出に残っている大会は?
「やっぱり2011年ウインブルドン・ジュニアのベスト4です。準々決勝(対マテ・パビッチ)は4-6、7-6(7)、10-8というスコアで。相手にマッチポイント4本を握られて、そのうち1本は自分の打ったボールがネットにかかったと思ったらコードボールで入った。あれだけ『負けた』と思ったところから逆転したことはないですね」
Q10 翌12年のUSオープン・ジュニアでもベスト4入りしていますが、やはりウインブルドンのインパクトが大きい?
「ベスト4入りしたときに生放送でWOWOWのインタビューを受けたんです。緊張し過ぎて汗だくになったんですけど(笑)、USのときはそんなことはなかった。ウインブルドンのベスト4にはそれだけの価値があったからだと思うし、いろいろな人に自分のことを知ってもらうきっかけになったと思います」
ウインブルドン・ジュニアのベスト4進出でさらに注目を集めるようになった
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