ユニットターンに始まった準備はフルターン、バックスイングへ続く_ジョコビッチのフォアハンド検証第3弾
どのくらいを“高い”というの?|How High is High?
ラケットフェースは、バックスイングが「もっとも高い」位置にさしかかった直後あたりに、極端にターンしたポジションに至ります。
しかし、この「もっとも高い」という言葉には落とし穴があります。というのも、バックスイングの高さには2つの定義の仕方があるからです。バックスイングの高さは、手の高さによるのか、それともラケットの先端の高さかということです。様々なタイプのトッププレーヤーを見ていくと、2つの高さは明らかに異なっています。
ジョコビッチに関しては、ラケットの先端が頭より上方と、かなり高いと言えます。しかし彼の手はラケットよりずっと低く、典型的なパターンでは、肩よりわずかに上あたりにきています。他のトッププレーヤーと比べた場合、この手のポジションは、相対的に見てそれほど高いというわけではありません。デル ポトロほど高くはありませんが、フェデラーやナダルよりも、多少高くなっています。
ジョコビッチはラケットの先端が頭より上で、手は肩よりわずかに上あたり
ジョコビッチよりもフェデラー(↑)とナダル(↓)は手の位置が低い
手の位置がもっとも高いのがデル ポトロ
後ろに引きすぎている?|Too Far Back?
ジョコビッチのバックスイングが興味深いのは、ラケットフェースのターンの仕方に加え、彼のラケットフェースが体の後ろの遠い位置まで引かれる点です。写真を見るとわかりますが、彼は右手を上体の右端をわずかに超えるところまで引いています。
上体の右端をわずかに超えるところまで引くジョコビッチ
ジョコビッチは手を、ほとんどの男子プレーヤーよりもずっと後ろまで引いている
ところが、ほとんどの男子トッププレーヤーは、右手を上体の右脇近くにキープしています(その一方で女子は、手を体の後ろまで引く傾向が強いと言えます)。男子で例外となるのが、右手を非常に遠くまで引くロビン・ソダーリングです。
ジョコビッチはソダーリングほど遠くまで右手を引きませんが、間違いなく、ほとんどの男子プレーヤーよりも後ろへ引いています。これは何を意味するのでしょうか?
右手を遠くまで引くソダーリング
ほとんどの男子プレーヤーは右手を右脇近くにキープする
ジョコビッチが手とラケットフェースをターンさせ、フェンスに相対するまで後ろに引くと、引いた分だけ彼は、ラケットヘッドをインパクトポイントへ導くために、背中を軸回転させなければなりません(深くひねり込み、その後、ひねりを戻すということ)。これらの要素が組み合わさることにより、バックスイングには非常に幅広いオプションが生まれます。
これらすべての動きの基礎となるのがユニットターンです。そこからフルターンして生まれるのがバックスイングです。
もっとも重要なポイントは、バックスイングの「前」と「後」にあるということを覚えておきましょう。
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