ユニットターンに始まった準備はフルターン、バックスイングへ続く_ジョコビッチのフォアハンド検証第3弾

\いじるとスイングが加速しない/
意識的にいじらない!|Grip & Racket Face
自然かつ自動的に、無意識に
ラケットフェースの角度は
グリップで決まる
トッププレーヤーの多くは、一度はラケットフェースを伏せ、バックスイングの最終地点、すなわちフォワードスイングの準備を整えたときに、“ドッグ・パット”を完全にやり終え、フォワードスイング開始のための、「ボールを打つ腕のポジション」と「ラケットフェースのアングル」をセットアップします。ところが、この形を理解するのがなかなか難しいのです。というのも、インパクトポイントに向かうラケットフェースが部分的に伏せられているからです。
なぜラケットフェースは伏せられるのでしょうか? そして、プレーヤーによってその角度が違うのはなぜでしょうか? 多くはグリップの違いによるものです。厚いグリップ/ウエスタングリップの度合いが強いほど、ラケットフェースは閉じた状態となり、コートに対して約60度ほど傾いた状態になります。一方で、デル ポトロのような、薄いグリップ/イースタングリップのプレーヤーは、ラケットフェースではなく、ラケットのふちがコートを指す形となり、ラケットフェースも最大で30度ほど傾いた状態となります。
セミウエスタングリップのフェデラーは、どれほどラケットフェースを伏せようとも、フォワードスイングに移行したあとも、常にほぼ同じ度合で伏せます。ウエスタングリップのナダルは、ラケットフェースは60度からそれ以上に伏せます。ナダルよりも厚いグリップのジョコビッチもだいたい同じです。ジョコビッチのラケットフェースは、コートとほぼ平行になるくらいまで伏せられ、その後、ボールを打つ腕のポジションをセットアップすると、ラケットフェースのアングルが変わり、コートに対して約60度まで回転します。この角度は、極端に厚いグリップのプレーヤーに典型的な特徴です。
これらバックスイングからフォワードスイングへの「移行」は、誰もが意識的に行なっていません。もしも、ラケットフェースを伏せることを意識しているプレーヤーがいたら、この非常に重要な「移行」が行なわれていないことが多くなります。

バックスイングがもっとも低い位置に至ったとき、グリップがラケットフェースの角度を決める


※次回はジョコビッチがどのようにスイングを仕上げ、「スピード」「スピン」、そして「安定性」を生み出しているかを見ましょう。
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