2018年USオープン決勝「大坂なおみ vs セレナ・ウイリアムズ」_丸山淳一コーチが戦況分析&ショット解説
ショット解説|注目点(5) 狙い澄ましたフォアハンドのダウン・ザ・ライン
以前はフォアハンドが手打ちの印象がありました。パワーがあるので目立ちませんでしたが、大切な場面で精度が落ちる原因になっていたと思います。それが、フットワークが良くなり(前述)、ボールに対して止まって打つことをしているので、相手に読まれにくいプレーとなっています。それによって、無理をしなくても相手を崩せることがわかってきたので、一か八かのショットではなく、確率の高いテニスをするようになったのだと思います。
コーチのサーシャ・バイン氏はそれを、いろいろな言葉を使ってわかってもらおうとしたのでしょう。言葉だけでなく、実際にうまくいくことが増えてきて、半信半疑が確信に変わったのではないでしょうか。
大坂選手は特にフォアハンドのダウン・ザ・ラインがいいです。ショット自体の質よりも、それがゲーム全体に与える影響のほうが大きいと思います。対戦相手が大坂選手のフォアハンドのダウン・ザ・ラインを警戒するようになると、今度は普通のクロスのショットが効いてくるのです。今までなら、ダウン・ザ・ラインはミスも多いし、安全に打ちたいときはクロスに打ってくると読まれて、待たれている感じがありました。しかし、ダウン・ザ・ラインの精度が上がってきたことで、対戦相手がダウン・ザ・ラインを警戒するようになりました。そうすると今度は、普通のクロスに対しても対応が遅れるため、相手は大坂選手がボールを打つときは、逆をつかれるかもしれないという感覚に陥ってしまうのです。
フィジカルの向上にともない、ダウン・ザ・ラインの精度が上がった。ボールに素早く追いつき止まるようにし、すべてを強打するのではなく確率を重視して打っている
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