プレーヤーはコーチは、コートで何を見て何を探ればよいのか?_クリス・ケイチェル第1弾
バックハンドスライスをマスターする過程でプレーヤーはコーチは、何を見て何を探ればよいのか考えていこう!
バックハンドスライスは非常に重要なショットその効果とは?
現代テニスにおいて非常に重要なショットと考えられるのがバックハンドスライスです。技術習得と戦術への応用を目指しながら、テニスの着眼点を考えていきます。
まず、バックハンドスライスの効果を考えてみましょう。スライスを使ってネットへ移行することは、通常の使い方です。
スライスにはチェンジアップの効果があります。どのサーフェスで使っても、ボールは弾んだあと変化をします。低く沈むため、相手に下から上へボールを持ち上げさせることができます。特に、厚いグリップで打つプレーヤーにとって短いスライスは非常に返球しづらいはずです。
ラリーで短いスライスを交ぜると、相手は急な動きの変化に対応しなければなりません。また、相手が打つ場所によって、簡単にオープンコートをつくることもできます。
女子は両手打ちバックハンドのプレーヤーが圧倒的に多く、強力なショットを持っていて、それに対抗する手段として、バックハンドスライスをミドルの深い場所に打つ方法があります。ミドルから角度をつけることは難しいため、結果、状況をニュートラルに戻すことができるのです。
トップスピンが主体のラリーの中でスライスを交ぜると、リズムやテンポが変わり、アンフォーストエラーを引き出すこともできます。
バックハンドスライスを7つのターゲットに打つ
コート番号と文章を照らし合わせてください↓ 7つのターゲットは右利きを想定してつくってあります。それぞれのターゲットの効果を確認しましょう。
1|ショート・ダウン・ザ・ライン
ラリーの中に急に短いスライスを交ぜます。相手のリズムやペースを変えることができます。
2|深いダウン・ザ・ライン
フォアハンドを厚いグリップで打つプレーヤーに対して、ダウン・ザ・ラインに深いスライスを打つと、次のボールが浮いてくる可能性が高く、ボレーにつなげます。
3|深いミドル
相手に主導権があるとき、スライスをミドル(センター)に深く入れるとニュートラルに戻すことができます。ミドルの低い打点から角度をつけて返球することは難しいのです。
4|ディフェンス
スライスを相手のバックハンド側に深く入れると、相手はディフェンスをするよりなく、ボールを浮かせたり、アンフォーストエラーを引き出すことができます。
5|ショート・ゲーム
クレーコート上で錦織がフェレールに対して非常にうまく使っていたのが印象に残っています。ここ(やや相手のバック側)にスライスを打つと、相手はバックハンドで打つか、回り込んでフォアハンドで打つか一瞬迷います。
錦織は何でも強打したがるフェレールに対して、ここにスライスを打つことによって、フェレールの好きにさせませんでした。フェレールは回り込めずにバックハンドで打ったり、強引にフォアハンドで回り込んだりしましたが、低い打点からアプローチして前に出るべきか、それともフォアハンド側にできたオープンコートを埋めるため、リカバリーすべきかを迷い、結局、オープンコートを埋めるため、下がることをしました。錦織の作戦どおりです。
6|ショートアングル
ここはトップスピンでも打てる場所ですが、スライスで打つことの効果も大きいです。フェデラーがよく使います。相手はバックハンドを低い打点で打つことになり、アングルに打ちづらいのでダウン・ザ・ラインへ打つしかないと考えます。このショットは、そこにボールを呼び込むショットです。
7|ドロップショット
ドロップショット自体に殺傷能力があるわけではないですが、相手の動きのパターンを急に変える時に有効です。プレーヤーは左右に動けるのは当たり前ですが、前後に動くとなると当たり前とはいかないことがあります。ドロップショットはその前のショットとの組み合わせがポイントです。
バックハンドスライスを打つ上でキーとなる要素
回転やスピードのチェンジアップ
相手に打ち上げさせる(ボールを下から持ち上げさせる)
動きのパターンに変化をつける
オープンコートをつくる
相手のショットセレクションを惑わす
ポイントにとどまるために打つ
ポイントの主導権を一定に戻す
厚いグリップに対してのチャレンジ
ポイントの様相の変化
ネットへの移行
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