ルイ・カイエ_最新ダブルス入門_vol.02「ボレーをバージョンアップしよう!」_初心者から国際レベルのプレーヤーまで、同じアプローチで上達できる!

ボレーの技術④
低い打点のボレーはサイドスピンで打つと有効

サイドスピンでボレーを打つとアウトしづらく、スピードも出しやすい

スイングの最後の最後までコースを隠せるのがサイドスピン

 ボレーの技術を覚えるときにもっとも強調したいことは、タイミングや感覚、身体のパーツを強く使って、いろいろなボレーを打てるようにしてほしいということです。

 ボレーは深く打つことばかりにとらわれず、浅くても弾まなければ相手に対して効果があるということはすでに解説しました。ただし、そればかり打っていても相手に読まれてしまいますから、いろいろなボレーを打つことにより、相手に簡単にプレーさせないことが大切です。浅く弾まないボレーを打つ技術には、サイドスピンのボレーがあります。

 ボレーでは、アンダースピンやサイドスピンを使いますが、アンダースピンがボールの軌道上でスイングするのに対して、サイドスピンはボールの軌道上からずらしてスイングします。ですから、アンダースピンはスイング方向にボールが飛び、コースが安定する一方で、コースを変えづらいと言えます。それに対して、サイドスピンはスイングの方向でボールを読ませない、最後の最後にコースを変えられるというメリットがあります。しかもサイドスピンはラケットを振ってもオーバーしづらく(ミスが少なく)、スピードも出やすいため非常に有効です。ボールに斜め回転がかかっているため、バウンド後のボールが曲がり、相手のリズムを崩す効果もあります。

ボレーを打つときにラケットヘッドが手首より下がってはいけないと聞きますが、本当ですか?


 私はいろいろなボレーが打てたほうがよいと思っているので、テクニックは特に型にこだわるよりもスキルを上げていくことに集中したほうがよいと思います。かつてはボレーを打つときにラケットヘッドを手首より下に下げてはいけないといったアドバイスも聞かれましたが、いまは国際的にはそれを言わないでしょう。私はOKと言いますし、ボールに触ることがまず大切です。触ったらコートに入れる。そしてできるだけ打ち分けられることです。

 繰り返しになりますが、テニスの鉄則は「触ったら入れろ」「ミスをしないでプレースメント」です。

サイドスピンをうまく使うトッププレーヤーたち

 オーストラリアを代表するダブルスペアのウッディズ、名ネットプレーヤーのパット・キャッシュやパトリック・ラフターは、膝より下で打つボールはサイドスピン、膝より上で打つボールはアンダースピンでした。また、アメリカのジョン・マッケンロー(写真右)はネットでよくサイドスピンを使いますが、多くのコーチが彼を真似てはいけないと言っていました。しかし、私は彼こそベストプレーヤーだと思っています。

チェック! アンディ・マレーのサイドスピンをかけたバックボレー

 サイドスピンで打つボレーは、スイングの最後の最後でコースを変えることができ、(下記写真を見る限り)どこへ打つのかわかりません。

ポイント
ボレーはネットの白帯上スレスレを狙おう!

 低い軌道のボレーは、それが浅くても深くてもバウンド後に低く弾むため、攻撃されにくいです。

アドバイス
もしも対戦相手がアンダースピンでボレーを打つときは「ポーチに出ろ!」

 対戦相手がバックボレーをアンダースピンで打つときは、ポーチに出るべきです。私は必ずそうアドバイスをします。なぜならそのスイング軌道からコースを予測できるからです。しかし、対戦相手がバックボレーをサイドスピンで打つようなら、スイングの最後の最後でコースを変えることができるので慎重に対応しなければいけません(写真のアンディ・マレーはサイドスピンを打っています)。

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