ジーン・メイヤーのジオメトリー・テニス_vol.01_プレースメントの重要性


 このテーマはやや難しいですが、非常に魅力的です。かつて“テニス界でもっとも聡明な男”と呼ばれた、元世界4位のジーン・メイヤーが解説するジオメトリー・テニス。彼はとても賢く、テニスをよく理解し、頭脳的なプレーをしていました。(2020年1月号掲載記事)

講師◎ジーン・メイヤー

Gene Mayer◎1956年4月11日生まれの61歳。アメリカ・ニューヨーク出身。スタンフォード大学卒。右利き の両サイド両手打ちのプレースタイルでツアー通算14勝を挙げた。ATP最高4位(1980年10月6日付)

インタビュアー◎ポール・ファイン

Paul Fein◎インタビュー記事や技術解説記事でおなじみの、テニスを取材して35年以上のアメリカ在住のジャーナリスト。多くのトップコーチ、プレーヤーを取材し、数々の賞を獲得。執筆作品はAmazon.comやBN.comで何度も1位となっている。テニスをこよなく愛し、コーチとしても上級レベルにある

翻訳◎木村かや子 写真◎Getty Images イラスト◎サキ大地

ADVICE|ジオメトリーとは、頭脳的にボールを選びコントロールすること、プレースメントなどに置き換えると理解しやすいでしょう。


NBAのスター、スティーブ・ナッシュは、かつて子供のときにサッカーをプレーしていたことが、後にバスケットボールに転向したときに大きな助けになったと言いました。

「いかにしてボールを適切な場所に送ればよいか、クリエイティブな方法を見つけるときに、サッカーの知識を持ち込んだことがボール扱いをずっと容易にした…ほとんどズルのようだったよ」と、彼は雑誌『プレイボーイ』に語りました。ナッシュはNBA史上もっとも偉大なプレーメーク力あるガードになるため、すべての角度を賢明に使いこなしたのです。

 バスケットボールでのナッシュ同様、テニスでも、あらゆるアングルを駆使してプレーすることができます。しかし、まずあなたはテニスの幾何学(ジオメトリー)を理解しなければいけません。それはやや難しいけれど、非常に魅力的なテーマでもあります。

 そのことについてのすべてを学ぶため、私はアメリカのテニスマガジンがかつて『テニス界でもっとも聡明な男』と呼んだ、ジーン・メイヤー(アメリカ)に助言を求めました。メイヤーは1980年にシングルスで世界4位だった選手であり、78年にはハンク・フィスターと、79年には兄サンディと組んで、フレンチ・オープンの男子ダブルスで2度優勝しました。彼はまた、82年のデビスカップで6つのシングルスの試合のうち4試合に勝って、アメリカが優勝する手助けもしたのです。

 プロツアーから引退したあとのメイヤーは、ともに巧妙な戦略と多彩なスキルで知られた元ダブルス・ナンバーワンのリーンダー・パエス(インド)、シングルスで世界17位のファブリス・サントロ(フランス)のコーチを務めました。より最近では、ティーンエイジャーのキャノン・キングスリー(アメリカ)を、USオープンジュニアの男子シングルスでベスト4に導いています。

 このインタビューの中でメイヤーは、考えられる限りのさまざまな角度から、テニスの幾何学(ジオメトリー)を説明してくれます。彼の見識とアドバイスは、あなたをよりすぐれたテニスプレーヤーに、そしてより教養のあるテニス観戦者にしてくれることでしょう。

「 私はテニスを幾何学(ジオメトリー)と物理学の観点から研究し、テニスに対する戦略的で心理学的なアプローチを練り出し始めた。そんなわけで、私の最初の生徒でもっとも成功をおさめた私の教え子は、私自身だったんだ」―― ビル・チルデン、もっとも独創的な思想家だった最初のテニスのスーパースター

「 幾何学(ジオメトリー)は力だ。それに芸術が加わればもはや抵抗はできない」―― 古代アテナイのギリシャ悲劇における三大悲劇詩人の一人、エウリピデス

「 幾何学(ジオメトリー)は、頭のスキルであると同時に目のスキル、手のスキルでもある」―― アメリカの数学者、ジャン・J・ぺーダーソンの著書『なぜ我々は、変わらず幾何学を教える必要があるのか』の中で


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