ジーン・メイヤーのジオメトリー・テニス_vol.01_プレースメントの重要性



Q3|今のテニスはどのようにジオメトリーを取り入れたらよいのでしょうか?

A|オープンコートをつくるテニス、角度のテニスに今一度注目してもいいのではないでしょうか。

ポール ここ40年でアマとプロのテニスは大きく変わりました。今日のプレーヤーは、攻撃、守備の双方で、どのようなジオメトリーの原理を彼らのテニスに組み入れていくべきでしょうか?

メイヤー プロテニスのどこが大きく変わったかと言えば、今プレーヤーたちは一般的に言って、私たち過去の世代よりも強くボールを打っており、速く飛ばしていますが、それは私のような選手がかつてやっていたほど、相手のプレーヤーをコートの外へ追い出してはいません。というのも、ボールを強く打てば打つほど、非常に鋭い角度(アングル)をつけて打つのが難しくなるのです。ですから今はジオメトリーの使用頻度はより低くなり、よりショットのパワーに頼る傾向があります。それは大きな変化です。

 今日のテニスはオープンコート、つまり“空き”をつくる能力を40年前ほど重んじてはいません。私たちの時代は、選手は単にショットの重さだけで対戦相手を圧倒するチャンスを得られませんでした。でも今はこの変化のせいで、私にとってもファンとしてもテニスの試合を観る楽しさが減ってしまったように思います。


強く打てば打つほど、角度をつけるのは難しい

Q4|具体的な方法を教えてください。

A|「読み」が重要です。

ポール その変化について、もう少し詳しく説明してください。

メイヤー 現在はかつてのように頭脳的にボールをプレースメントしてコートに空きがつくれなくても、ショットの強さで空きをつくることができます。ただし、それだけでポイントが取れるというわけではありません。

 私が、あるやり方でボールを打ち、対戦相手がある場所に移動して、ある可能性を手にしているとしましょう。それから(私の父のお気に入りの表現を借りるなら)、「いま彼が狙い得る可能性のあるアングルを、どうやってインターセプトするか?」を自分に問います。私がカバーしなければならないのがグラウンドストロークの場 合、特に私が対戦相手をワイドに動かしたときは、極端にワイドでなければ実行可能なショットは何になるか? と問うのです。

 そして、私はどうすればコートの最大部分をカバーできるか?

 例えば私がフェデラーのような素晴らしいサーバーと対戦し、彼が打つ非常に危険な、オープンコートをつくり出すワイドサービスをどうやってカバーすればよいのか? と問うのです。

 このように、今日のパワーゲームをもってしても攻撃面では、いかにコートを広く使って、角度とプレースメント(つまり、ボールをどこへどのような軌道で打って相手コートに空きをつくるかという兵法)によってチャンスを生み出すという「読み」、同時に、守備面でいかに相手のショットに応じるかという「読み」が、ポジショニングとショットの選択に関して、とてつもなく重要なことになります。



Q5|女子テニスに関してはどうでですか?

A|ジオメトリーの使用頻度が低く、フラットで強く打つ傾向があります。

メイヤー 女子に関して、ここまでに説明した変化はいっそう真実だと言えるでしょう。というのも今の女子テニスは、これまでになくボールをフラットで強く打っています。でも最近は、より多彩さをもつ素晴らしいプレーヤーが出てきました。それによってテニスは変わらず、ジオメトリー、つまり巧みなプレースメントがものをいうスポーツなのだと思います。


女子の多くはフラットで強く打っていくテニス

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