多機能型フォアハンドを身につける“最初のヒント”



多機能型フォアハンドを覚えよう!

手順1|下半身の安定と胸椎のローテーションを覚える

胸椎の回旋から始める

 大きいエネルギーを出すときには、足→腰→肩→腕→手首→ラケットと運動連鎖を使いたいのですが、それらを大きく使うと“連鎖ラグ”が起きます。例えば、足で地面を蹴って腰が出てくるまでとか、腰を回したあと肩が出てくるまで、などに時間がかかるのです。これをスピード化したテニスの中で行うとなると、スピードとコントロールを両立させなければならず、難しくなります。

 そこで最近では、胸椎のローテーションを大きく使い、下半身はあまり大きく使わないでラケットを加速するという方法を使っています。この方法だと短い時間の中でラケットを速く振ることができます。プロたちが行っていますね。

胸椎のローテーションを使う


 そして次にポイントになるが、胸椎をローテーションをしたときの腕の位置です。身体に対してラケットが背中側にあると、肩が「外旋」し、腕が「回外」した状態になります。これは間違いです(写真×)。正しくはラケットが胸側(右側)にあるようにして、肩が「内旋」し、腕が「回内」した状態にします(写真○)。このようなテークバックをしているプロたちを見ますね。

 この状態から胸椎のローテーションを使って、腕を前方へ引っ張っていくと、今度は“リストラグ”(リストの伸張反射)というリストが遅れた形になり、手首に角度ができた状態でボールをとらえ、ラケットは加速していきます。このテクニックを使えるようにするため、胸椎の回旋から始めます。

❶椅子に座り、骨盤を前に向けて止める ことで胸椎のローテーションをトレー ニングする


❷この状態で胸椎のロー テーションを使うと“リ ストラグ(手首の伸張反射)”を 起こすことができる

ボールに当たる少し手前で、前腕が引き伸ばされ(筋肉がゴムのように伸 びて縮む場面)加速していく。リストラグ(手首の伸張反射)が起き、リストが一定の場所で角度のある強い状態となる


このフォアハンドをやってほしい対象は……

 この練習をやってほしい対象は……みなさんです!子供でも高齢の方でも、関節を使ってラケットを加速させると、小さい力で大きなエネルギーが生まれるので、みなさんにやってほしいです。

 本当は力のない人ほどうまく使ってほしいテクニックですが、最初に腕や手首の形を決めて出す(写真×)ことを覚えてしまった人は、このような胸椎を使って、腕をリラックスさせて加速するということに、不安定さを感じるでしょう。難しいと感じるかもしれません。

 しかし、実のところは簡単な要素がいっぱいありますので、まずやってみてください。そしていいところがいっぱいあることを知ってください。テークバックでラケットが打点に近く、ほとんど打点から離れずに振ることができます(写真○)。正確にインパクトができます。

 しかも身体に近いところにラケットがありますから、使うエネルギーは少なく、大きなエネルギーを生み出すことができます。例えば重いものを動かすときに、腕を遠いところから持ってくることはないでしょう。近いところから出したほうが簡単に大きなものを動かすことができます。

リストラグ(手首の伸張反射)とは?

(写真左○)ラケットが右側にある。これは肩が内旋、腕が回内した状態
(写真右×)ラケットが背中側にある。これは肩が外旋、腕が回外した状態


胸椎をローテーションして腕が前方へ引っ張られると、リストラグ(手首の伸張反射)が起きる。リストが遅れた形になり、手首 に角度ができた状態でボールをとらえられる(安定する)




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