初代チャンピオンはジョコビッチ率いるセルビア [ATPカップ]

準優勝のスペイン・チーム(Getty Images)

 マドリッドでスペインをデビスカップ優勝に導いてから2ヵ月も経たないうちに10日間で6つのシングルスと2つのダブルスをプレーしたナダルは、国際テニス連盟(ITF)とATPにチーム世界一決定戦をひとつにするため話し合うよう促した。

「ATPカップは素晴らしい大会だ。でも…1ヵ月の間に2つのワールドカップをやるというのは現実的ではない」と彼は意見を述べた。「だから僕らはその点を改正するための方法を見つける必要がある。ITFとATPが取り決めを行い、ひとつの大きなワールドチーム・カップの大会を生み出すための方法を見つけなければならない」。

 これは大会序盤にデニス・シャポバロフ(カナダ)も指摘していたことだった。

 スペインが先勝したことはジョコビッチにプレッシャーをかけたが、彼は今大会で一度もシングルスの試合を落としていなかった。その進撃の過程にはUSオープン準優勝のダニール・メドベデフ(ロシア)、ケビン・アンダーソン(南アフリカ)、ガエル・モンフィス(フランス)、そしてシャポバロフに対する勝利が含まれていた。

「試合を完璧な形で始めた。すべては僕にとってうまく機能したよ」とジョコビッチは振り返った。「第2セットではサーブが僕をトラブルから救い出してくれた」。

 8分を要した最初のゲームで、ジョコビッチはナダルのサービスをブレークした。審判はサービスのモーションの間は静粛を保つよう、観客に2度注意しなければならなかった。ジョコビッチは次の自分のサービスゲームをデュースにもつれたあとにキープしたが続く3ゲームでは自分のサービスからは1ポイントも与えず、わずか39分で第1セットを取った。

 騒々しい観客に関する苛立ちを克服したナダルは、第2セットでは激情を見つけ出した。戦いはより拮抗したものになり、ジョコビッチは第11ゲームで2つのブレークポイントを手にしたが、いずれもものにできなかった。タイブレークの出だしではダブルフォールトをおかすなど、ややナーバスなスタートを切ったジョコビッチだったが、次第に主導権を通り戻して4-4から3ポイントを連取した。

 ケン・ローズウォール・アリーナの観客席は決勝を通して国旗を振り、国の名とジョコビッチのニックネーム「ノール」を連呼するセルビア人サポーターで溢れていた。そして現地午前1時を少し過ぎたころ、彼らは自分たちのチャンピオンに喝采を送っていた。

(APライター◎ジョン・パイ/構成◎テニスマガジン)

※写真はATPカップ初代チャンピオンとなったノバク・ジョコビッチ(左端)率いるセルビア・チーム
SYDNEY, AUSTRALIA - JANUARY 12: Team Serbia celebrate winning the ATP Cup final against Spain during day 10 of the ATP Cup at Ken Rosewall Arena on January 12, 2020 in Sydney, Australia. (Photo by Matt King/Getty Images)

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