ジーン・メイヤーのジオメトリー・テニス_vol.03_ポジショニングとショットの関係

このテーマはやや難しいですが、非常に魅力的です。かつて“テニス界でもっとも聡明な男”と呼ばれた、元世界4位のジーン・メイヤーが解説するジオメトリー・テニス。彼はとても賢く、テニスをよく理解し、頭脳的なプレーをしていました。(2020年3月号掲載記事)
講師◎ジーン・メイヤー
Gene Mayer◎1956年4月11日生まれの61歳。アメリカ・ニューヨーク出身。スタンフォード大学卒。右利き の両サイド両手打ちのプレースタイルでツアー通算14勝を挙げた。ATP最高4位(1980年10月6日付)
インタビュアー◎ポール・ファイン
Paul Fein◎インタビュー記事や技術解説記事でおなじみの、テニスを取材して35年以上のアメリカ在住のジャーナリスト。多くのトップコーチ、プレーヤーを取材し、数々の賞を獲得。執筆作品はAmazon.comやBN.comで何度も1位となっている。テニスをこよなく愛し、コーチとしても上級レベルにある
翻訳◎木村かや子 写真◎Getty Images イラスト◎サキ大地
ADVICE|ジオメトリーとは、頭脳的にボールを選びコントロールすること、プレースメントなどに置き換えると理解しやすいでしょう。
Q22|あなたの最良の教え子のひとり、キャノン・キングスリーにテニスのジオメトリー(幾何学)は何を教えましたか?
A|コートの幅を広く使うことができるようスピンを使って特訓しました。
メイヤー キャノン・キングスリー(アメリカ/写真)は現在18歳で、昨年のUSオープンでは準決勝に進みました。USオープン・ジュニアは試験的に、試合中の各ポイントや各エンドチェンジでコーチングすることを許可していました。そこで私たちは合図などのコミュニケーションをとってプレーをすることをしました。その結果、私はキャノンと用意したゲームプランから横道にそれることはなく、どのように試合にトドメを刺すか、どのように最後のサービスをキープしてセットを取るか、そこまで自分を誘ったものをどのように維持するかについて話すことができたのです。
キャノンは楽々とパワーを発揮できる、力強いテニスの持ち主です。ですから彼のプレーの傾向は、相手にミスを強いること。ショットを一方のシングルスサイドラインから他方のシングルスサイドラインへと打つことによって、相手が手にできるプレー時間を減らすことにあります。
USオープンの6ヵ月前、私たちは彼のプレースタイルをより効果的にするために、コートを広く使うことができるように特訓しました。そうするにはよりスピンを使う必要があります。スピンを使うと、相手をコート外に追い出すための、より短くワイドに逃げていくショットを打つことができるからです。
キャノンの楽々としたパワーゲームは、すでによく発達していました。それは元世界4位のトマーシュ・ベルディヒのようなテニスです。でも今、対戦相手たちは彼のショットの重さだけでなく、彼が使う鋭い角度ゆえ、コートの幅も警戒しなければなりません。そのようなワイドなショットに対するときは、相手はアレーや、さらにコートの外から返球することになり、相手のプレーの効力を抑え込むことにもなるのです。

キャノン・キングスリー
Q23|ポジショニングのベース〈返球可能な範囲の中間地点〉について──その背後の理論を説明していただけますか?
A|対戦相手が打つことができるショットの幅を割り出し、自分はどこにポジションをとるべきかを考えます。プレーヤーはそれを一貫して割り出し続けます。
メイヤー 優秀なプレーヤーは、すぐれた問題解決能力を備え、良い動きができます。でも、よいタイミングでボールに追いつくということは、単に足の速さの問題というわけではありません。あらゆる種類のショットに追いつくためのベースとなる能力は、特にサービスリターンで顕著となり、グラウンドストロークでも同様です。
それは〈コートの中央〉に立つということではありません。トッププレーヤーは頭の中にある種の備え付けコンピューターを持っていて、コートのあるポジションから対戦相手が打つことができるショットの幅はどのようなものか、それに対し、自分はどこにポジションをとるべきかを一貫して割り出し続けています。
USオープン・ジュニアの間、キャノンと私が取り組んだことのひとつにデュースサイドでのリターンがあります。彼が対戦した相手の何人かは、すでに時速210㎞以上でサービスを打っていました。それに対しキャノンはフォアでリターンを叩いてポイントを取っていました。
キャノンはセンターラインとワイドに逃げるサービスの中間地点であるように見えるところに立っていたのですが、そのポジションにいると、相手サービスは決して彼から離れていかず、頻繁に彼のほうに食い込んできていました。そうするとキャノンは決してバック側で苦労させられることもありませんでした。
キャノンは、相手サービスがデュースサイドで彼のフォア側(ワイド)に飛んでくるときに、それが彼から少しだけ離れていく形で逸れていっていることに気づいていませんでした。ポジショニングがそうさせていたのです。実際には、彼が思うよりもずっとワイドに飛んでいたのですが。

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