ロジャー・フェデラー 2006インタビュー「王者の決意。」

2006年5月、ローレウス世界スポーツ賞において、フェデラーは年間最優秀男子選手賞を受賞(Getty images)



オーストラリアでは
重いプレッシャーを感じながら
プレーしていたんだ

ーー今シーズンのあなたはプレッシャーにやや敏感に反応しているように見受けられます。過去のある時期よりも、いくらかプレッシャーを感じているようです。例えばオーストラリアでは優勝候補の筆頭だったことが、そうさせたのでしょうか。

「昨年末のケガとの闘い、それを乗り越えようという努力、見合わせた方がいいと思われた状況下での上海(マスターズカップ)出場など、多くの要因の組み合わせだと思う。それでも正しいやり方ができたと思う。オーストラリアではサフィン、アガシ、ナダルといった選手が欠場して、誰もが僕のことを優勝候補として話題にし始めた。それも負担となったね。おそらくおっしゃる通り、僕は肩にずっしりと重いプレッシャーを感じながらプレーしていて、こういったシナリオすべてが気楽にプレーできない状況を作り出したんだ。でも最終的に優勝を遂げたことに、とても誇りを感じているよ」

ーー明らかに優勝候補の筆頭と目されるのは荷が重いに違いないでしょうね。

「まったくだよ。期待されないよりは優勝候補にみなされる方がいいには違いないが、優勝候補とみなされているがゆえに研究されるので、挑戦者の立場の相手に主導権を握られる。特に、挑戦者のプレーを知らない場合、僕にとっては暗中模索の試合となる。それは常に容易なことではないんだ。イベントや大会ではいつもいい試合を期待され、並みの試合をしようものなら、おい、どうしたんだとなる。すみません、今日はフォアハンドがラインに乗らなくて、などと言い訳しなくてはならない。楽じゃないよ。常にみんなを幸せにするなんて、楽じゃないさ。でも今では、ある程度はプレッシャーを締め出す方法がわかってきたよ」

ーー別な話題に移りますが、ある意味でフレンチ・オープンに関連する話題です。2005年の準優勝者マリアノ・プエルタはドーピングで8年の出場停止となりましたし、ほかにも出場停止になった選手がいます。どう思いますか。何かを飲食するごとに心配になりますか?

「まず僕はものすごく気をつけているよ。飲食するものすべてに、できるだけ注意を払うようにしている。不確かなものだったら、むしろ口にしないくらいに。それくらい慎重であるべきだ。最終的にはほとんど自分自身しか頼れないんだ。いささかクレージーに思われるかもしれないが、ドーピングが厳しくなっている現状では仕方ない。テニス界でときどき起きているのを見るにつけ、落胆しているんだ。彼らが出場停止になったことは喜ばしいとしか言えないよ。もしこのような過ちを犯したら、出場を禁止されるのは当然だからね。できれば二度と起こらないよう望んでいるよ」

ーーあなたは彼らが受ける厳しい罰が他のプレーヤーに警鐘となることを望みますか?

「そうだね、違反したプレーヤーを罰して、同時に他のプレーヤーを脅すことにもなるから。数年出場停止になると、ふたたびゼロからやり直さなくてはならないが、彼らにワイルドカードなどの救済措置が取られるべきだとは思わない。彼ら自身がテニスを汚したのだから」

ーーでは8年というプエルタの場合、長すぎるとは思いませんか?

「いや、それでいいと思う」

ーーこれまでの活躍の見返りとして多くのものを手にしていると思いますが、他に何を望みますか?

「ケガをしないように、健康でいられるように、病気にならないようにと最新の注意を払っているよ。そういったことを心底恐れているんだ。ここ数ヵ月、ここ数年、ときどきケガをしてきたが、そのおかげで最初はきっと幸運だっただけなんだと思い知らされたんだ。シーズンを通じて健康な状態でいたい。まったく痛みなしと言わないまでも、少なくともシーズンを通してちゃんとプレーしたい。なかなかそうもいかないから、それが将来に向けて一番の望みだね」

ーー過去よりも現在の方が幸せですか?

「ああ、もちろんだよ。とても幸せだ。素敵な恋人がいるし、僕の周りの誰もが健康だ。それはすばらしいことだと思う」


2006年4月、モンテカルロ(Getty Images)


フェデラーのグランドスラム全成績


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