データ分析の第一人者、レオ・レビン「データはいかにテニスを変え、今後どのような影響を及ぼすのか?」

Q30|選手をサポートすることも大事だが、感情や判断を組み込むことも重要だと言われています。テニスコーチがそれらのことをうまく行うのに重要なカギは何ですか?

A コーチにとって一番大事なのは自分の選手を知ること。選手がどんなプレーを得意としているのかを理解するのが大事なんだ。自分が選手に指示を出したときに、それがうまくいく可能性が高いことをコーチ自身が事前にわかっているからだ。もし選手がネットに出て75%のポイント獲得率なら、前に出ることを推奨できる。

 だが、ネットプレーが不得手な選手にネットに出てリスクをおかせと指示しても成功する確率は低い。そしてそれは練習コートで事前に行うべきである。そこで狙いを与えれば、選手が積極的になって自信にもなる。コーチは選手がメンタル面、プレー面で何ができるのかをよく理解することだ。

エレナ・オスタペンコに指示を与えるデビッド・テイラーコーチ。コーチがデータを生かすには、まず選手のことをよく理解しなければならない

Q31|それをトッププレーヤーとうまく行った例を教えてください。

A 昔のことになるが、キャリア晩年のジョン・マッケンローと働いたことがある。彼の試合の後に、次の対戦相手とのゲームプランと、翌日の試合と、その6ヵ月後に相手よりもうまくできるであろうプレーを伝えた。明日の試合のためには、どこにボールを打ち、どんな戦術、戦略が有効なのかが問題になる。

 ジョンがフレンチ・オープンでプレーするとき、すぐに取り組んだことがある。ベースラインからもっとアグレッシブに攻めて、ほかのサーフェスでやっているように、早くボールを叩き、もっと頻繁に攻めることだった。

 彼はそのころ、シングルスに集中するため、ダブルスには出場していなかった。長い目で見て、彼のシングルスでのプレーを向上させるには、ふたたびダブルスもプレーするようにして、彼の本来の武器であるサーブ&ボレーを磨き、リターンの精度を高めることだった。ダブルスをプレーすることは、練習コートで課題に取り組む時間を大幅に節約してくれた。そしてそこで優勝賞金というおまけもついてきたんだ。

ダブルスをふたたびプレーするようになり、持ち前の攻撃力を取り戻したマッケンロー

Q32|データ分析は間違いなくテニスに変化をもたらしています。このまま、テニスに大きな革命を起こすと思いますか?

A もちろんさ! テニスは常に変化している。テニスを含むすべてのスポーツの周りのテクノロジーは進化し続けている。データ分析は間違いなく選手のパフォーマンスを向上させてくれる。大事な試合で自分のパフォーマンスをピークにもっていく術を教えてくれる。トレーニングの仕方、試合に向けての準備、プレッシャーがかかる中でのショットの精度などすべてを向上させてくれる。どの選手も必要であれば手に入れられるだろう。そして栄養、睡眠、トレーニングメニューもパフォーマンス向上には欠かせない要素だ

Q33|この先、ロジャー・フェデラー以上の選手が生まれると思いますか?

A すべてのスポーツにおいて、選手のレベルは20年前よりも上がっている。前の世代に比べて、より大きく、より強く、より早くなっている。だから、未来のテニス選手はスピード、パワーで現在より優れているだろう。だが、フェデラーほど偉大なチャンピオンはもう生まれてこないのではないかと思う。

データ分析が進んでテニス、選手が進化しても、フェデラーのようなスーパースターが生まれることは難しいのかもしれない

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