デイビス&フルーリアン_選手の性格タイプを理解することの重要性〜第32回(2018年)TTCスポーツ科学セミナーvol.01
ジャン-フィリップ・フルーリアン講話
始まりは最悪なコーチとの出会いだった
いいコーチと悪いコーチ
最初に、なぜ私が心理学に興味を持ったかというところからお話ししましょう。今回、このセミナーでともに講師を務めているロバートは、あるコーチから大きな影響を受け、彼の教えが自分自身のコーチングに非常に役に立ったということから、自分もコーチングをやりたいと思うようになったそうです。偶然にも、ロバートに影響を与えたコーチというのは、実は私が現役時代の最後のほうに見てもらっていたコーチでした。偶然同じコーチに見てもらった経験のあった私たちですが、そのコーチは私にとっては最悪のコーチでした。まず性格が合わず、彼のせいで、自分のテニスはめちゃくちゃにされたと言ってもいいくらいです。私のキャリアが終わったのは、彼のせいだというくらいに考えていました。その話をすると、ロバートとはいつも議論になるのですが(笑)。
そこで、ずっと頭にあったのは、ある選手にとってはすごくいいコーチなのに、ある選手にとっては最悪のコーチになってしまうという、なぜそのようなことが起こり得るのか、ということです。それは、常に私の中に疑問として残っていました。
こういったことは、コーチのみなさんも、たぶん経験しているのではないかと思います。例えば、グループレッスンをしていて、ある一定の選手とはコミュニケーションをしやすいが、別の選手に対してはなかなかうまくコミュニケーションがとれないとか、なぜか自分の出すドリルに対して嫌そうにしているなど……。そこで、大切なのは、なぜこういったことが起きるのかということを理解すること、そして、それらをどうやって解決するかということです。
私は、気の合わなかったコーチとの経験を通じて、そのことを詳細に知りたいと思うようになり、心理学者のパトリック・ビジエの講習を受けて、そうした疑問を晴らしました。
「さまざまな心理タイプを理解することは、個々の選手へのアプローチやコーチングの個別化を可能にする」
これは、ビジエの言葉です。今回の、このセミナーの最初の目的は、さまざまな人格を理解することです──こういった人格タイプには、こう伝えるほうが適している──といったことを理解することです。
そこで、ここではポール・マクリーンという人が説いた「脳の三位一体理論」と、クロニンジャーという人が説いた「パーソナリティ理論」から、人間をいくつかの人格タイプに分け、その行動をプロファイリングする方法を紹介していきたいと思います。
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