柏井正樹_錦織圭のジュニア時代を振り返って〜【テニスマガジン2008年9月号掲載記事】

性格「自分が先頭ではないが、ちゃんと外界を観察している」

——松岡修造さんがよくケイの話をするときに、表現力という言葉を使いますが、実際にケイと接していてどうでしたか。

柏井 最初に会ったときは、ケイはお母さんとお姉さんといっしょにスクールにやって来ました。ケイはお母さんの後ろに隠れつつ、僕を見上げていました。挨拶もろくにできず怖がっていたんじゃないでしょうか。しかし、僕はケイが内向的かといえば「?」です。それは、内に入ってしまっているということではなく、一歩離れたところからちゃんと見るべきものは見ているからで、そこから必要なものはちゃんと自分に取り入れたり、分析したりすることができるタイプです。グループの中にいるケイはノーリアクションでしたが、聞いていないわけでは絶対になかったし、聞けばちゃんと聞いてわかっていました。ただ「2列に並んで」と言ったときに、先頭に走っていって並ぶタイプではなく、2番目、3番目に並びました。でもスキル的には、真っ先にターゲットに当てましたし、そこで調子に乗っておどけるような子ではありませんでした。

——戦うためには表現していかなければいけないと思うところもあります。修造さんはガッツポーズを出すことも、表現方法のひとつだと考えていると思いますし、その点で柏井さんはどう考えますか。

柏井 ケイみたいな人はこのポイントは絶対に大事だよねというところで、ほどよく相手にダメージを与えて、ポイントを取った瞬間にガッツポーズが出て、次に知らん顔をして入っていくという、そういうのがいいんじゃないんですかね。やっぱりテニスはポイントの取り方が大事で、ラッキーでポイントが取れてガッツポーズが出るかといったら、それは違うと思うんです。そこでは出ないし、出せと言ったら演技になってしまうでしょう(笑)。

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