柏井正樹_錦織圭のジュニア時代を振り返って〜【テニスマガジン2008年9月号掲載記事】

2019-06-12

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柏井正樹_錦織圭のジュニア時代を振り返って〜【テニスマガジン2008年9月号掲載記事】

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技術面でよく聞かれる質問（3）「何を直し、何をいじらないか」

——ケイのプレー中には、ドロップショットが結構目につきます。

柏井　僕がケイと1対1で練習するときは、僕自身が球出しからドロップショットを使っていました。例えばフォアに3本球出しすると言っておいて、最初にドロップショットを打ちました。すると彼の動きが止まるので、「今の入ってなかったの？」と聞くんです。最初からパターンを決めて動くのではなく、見て、読んで動きなさいと。決まりきった動きをしないということと、相手の動きの逆を突くことなどを、普段のラリーから練習してきました。

——柏井さんが意識してケイに与えていた刺激は何ですか。

柏井　テニスは「遊び」であり「ゲーム」です。テニスは相手の戦力が落ちれば、自分の戦力が変わらなくても勝てます。相手が自分より実力が上でも、例えば印象的なドロップショットを打ったことによって、相手を疑心暗鬼にさせ、戦力を落とすこともできます。それでイーブンになれます。相手が「あれ？」と思うようなことができれば、自分は何も変わっていなくても試合に勝てる側面もあるのです。

　つまり、考えれば相手に追いつけるわけで、そういうことが普段の練習の中にあることがとても大事だと思います。試合は相手との力関係であり、だから自分を知り、相手を知り、その日の自然条件を知り、その中でどこに何をどう打つか、狙うか、はずすかなどを組み合わせて効果的にプレーします。

——それは、すなわち駆け引きを常に考えていたということですね。

柏井　例えばボレーに出るにはどうすればいいかと考えます。3回続けてボレーに出たら、相手もわかって次のショットは沈めてくるでしょう。そこで4回目にはステイバックします。すると相手は「あれ？」と思うわけです。また、沈んで短くなったボールをアプローチして、前に行ったりすれば、裏をかくことができます。そういうことをやるのがテニスです。僕が伝えているテニスはそういうことですけど、たくさんいる選手の中でも、ケイはそのことになるほどと反応する子でした。

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