柏井正樹_錦織圭のジュニア時代を振り返って〜【テニスマガジン2008年9月号掲載記事】

練習で工夫したこと

プライベートレッスン「戦略、戦術とそこで必要な技術の練習」

——ケイとは、プライベートの練習時間が長かったそうですが、意識していたことを教えてください。

柏井 1対1で練習するときは、ゲームやポイントマッチなどが多かったです。戦略・戦術的に、ここにこう打ったら、次のボールはここに打つとか、深いボールと短いボールのどっちを打ったらいいのか、というようなことを体験させました。

 例えば、僕がスライスサービスをワイドに打って、ケイが返してきたものを回り込んでオープンスペースにノータッチエースを取ったとします。そういうことをやってみせておいて、次にケイがサービスゲームのときに、同じようなサービスを打ってきたときにわざと僕がバランスを崩して、「うーん」ってうなりながら返してみせます。するとケイは、そのボールを回り込んでオープンスペースに打ってきます。そして、そのボールに対して、僕はギリギリで手が届かないようにして、ケイに決めさせるのです。

 これはまだケイが小さいときの話で、本当は僕は走れば取れるんですけど、そういうボールがバランスを崩すということ、あのバランスの崩れからチャンスがくるということを映像として確認させ、覚えさせたかったんです。そういう練習に時間を割きました。

グループレッスン「競争と、ひとりではできない負荷の高い練習」

——一方で、グループレッスンも受けていたケイですが、プライベートレッスンとの兼ね合いはどうしていましたか。

柏井 グループレッスンは週に3回、2時間で、プライベートレッスンは土日の僕の空いている時間に、ケイとお姉ちゃんといっしょに練習することが多かったです。僕はチームで練習するということは、ひとりでやるとしんどいことをやるという考えがあります。

 例えば、吐いてしまうくらいしんどいことはひとりではできないものですが、そういう苦しいこともチームで声をかけ合ったり、騒ぎながらならやれると思います。チームでは負荷を上げてやっていくというのがグループレッスンという認識です。だからグループで練習するときは、選手には「とにかく動きなさい」と言います。プライベートレッスンで戦略的なことができるのであれば、グループレッスンはそれだけでもいいと思います。

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