多機能型フォアハンドを身につける“最初のヒント”

テニスはプレーのスピード化によってプロのみならず、一般でも 時間がない!と感じることは多いのではないだろうか。 相手との打ち合いの中でボールを支配するためには わずかな時間をうまく使ってプレーをする必要がある。 ヒントは、コンパクトなテークバックから 大きなエネルギーを生む打法にある。(テニスマガジン2021年1月号掲載記事)


指導◎駒田政史 (写真左)

こまだ・まさふみ◎1973年3月30日生まれ。愛知県出身。名古屋学院高校、亜細亜大学卒。全日本ジュニア18歳以下複優勝、全日本大学王座優勝、全日本選手権複優勝(大学4年時)。卒業後はミキプルーン所属で8年間選手活動、その後、2003年より竹内庭球研究所に所属し、11年間ナショナルコーチ(フェド杯、アジア 大会、ジュニアフェド杯監督、ユースオリンピック監督)を務めた。現在は関西を中心にプロ選手、ジュニア選手の強化とともに、日本テニス界の環境整備(普及から強化のシステム作り)に力を注いでいる。

写真◎川口洋邦、Getty Images 協力◎ブルボンビーンズドーム アシスタント◎平田龍一(テニスラボ/写真右)

効率よく、効果的に エネルギーを出す打法を身につける

 同じ特集の記事「ソフトテニスのテニス化にヒントあり!」に、私たちはヒントをもらうことができます。ここでも同様に、フォアハンドのコンパクトなテークバックについて考えましょう。

 現在のスピード化するテニスにおいて、私はみなさんに「多機能型フォアハンド」の習得をすすめます。違う言い方をすると、コンパクトなテークバックから大きなエネルギーを生む、基本となるフォアハンドです。これを覚えると様々なシーンに応用でき、万能な打法でもあります。

 バイオメカニクスの視点で考えると、大きな動作は大きなエネルギーを生むのがセオリーです。ところが、テニスというスポーツでそれを取り入れようとすると、ますますスピード化が進む中では、自分が打ったボールを相手が打ち返してくるまでに、とにかく時間がないわけです。ボールに追いつき、足、腰、肩、腕、手首、ラケット……と全部を使ってエネルギーをつくる、それを繰り返すのはたいへんです。その中でうまくプレーする方法を身につける必要があります。それが、コンパクトなテークバックから大きなエネルギーを生み出す打法の習得につながるのです。


後ろ足のつま先の向き、ラケットヘッドの向き、右手の位置にヒントあり

 ソフトテニスも硬式の打法を取り入れる傾向があると聞きました。実はソフトテニスでは、ボールがバウンドしたあとにボール速度が落ちるため、硬式より少し時間があります。その点でテークバックが大きくても問題はないのですが、課題はほかにあると考えます。

 大きなテークバックをするとラケットヘッドがインパクトから遠くなります。そのときに肩が外旋して、前腕、手首が回外している状態(写真×)だと、そこから大きなパワーを生み出すことはできません。大きなエネルギーを生む動作は、テークバックをしたときに肩が内旋し、腕が回内していること(写真○)。そうすると肩や腕の回転運動が続いていって、エネルギーは大きくなるのです。

⭕️ラケットヘッドが打点に近い

ラケットが打点に近いので、正確にインパクトしやすいと言うこともできる

❌ラケットヘッドが打点から遠い

時間がない中でラケットヘッドが打点から遠いと間に合わないことも出てくる

⭕️肩は内旋して、前腕、手首が回内している

肩が内旋して、前腕、手首が回内しているテークバックに始まり、身体が回転していくと、各部が連鎖していった先で大きなエネルギーが生まれる

❌肩が外旋して、前腕、手首が回外している

テークバック時に肩、手首の関節がロックされてしまい、エネルギーを生み出せないないばかりか、間に合わないことも出てくる


テークバックをしたときに肩が外旋し、前腕、手首が回外していると(写真×)、肩、手首の関節がロックされてしまい、スイングスピードを生むことができなくなります。そしてもうひとつ課題があります。ラケットヘッドが打点から遠いため、ボールを正確にとらえることが難しくなります。これは硬式でも同じ話ができます。これらの点を踏まえてレッスンをすすめましょう。

硬式テニスソフトテニスのボールの重さが 違うことによる打法への影響

 ソフトテニスのボールより硬式テニスのボールは物理の法則を受けやすいと言えます。硬式のボールの重さと加速を考えると、後ろ足の腰とインパクト時の手の位置が打球方向に対して直線上にあることが重要で、オープンスタンス、セミオープンスタンスが適しています。

 ソフトテニスの場合はボールのバウンドが低く、クローズドスタンスやスクエアスタンスになります。その状態でラケットを出していくと少しぐらい右腰の位置とインパクト時の手の位置がズレても、硬式ほどNGではないと考えられます。理由は、インパクト時にラケット面にボールが接触している時間が長いためです。



スピード化が進み ウィナーが増えて必要になるのが“回転(スピン)”

 現代テニスはよりスピード化(アンフォーストエラーがウィナーを上回るような競技に進化)が進んでおり、今後もその流れは変わらないと予想されます。そうすると、より時間のないシチュエーションの中で正確性をともなうテクニックが要求されます。

 具体的には、よりコンパクトな動作でラケットを加速させて、その中でボールの回転量をコントロールするテクニックが重要になってきます。それと同時にコンパクトなスイングをする利点は、打ったあとの動作、ポジションどりが素早くなるということです。

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