「テニスのバランス」をバランス指導のスペシャリスト、マーティ・スミスが徹底解説する PART1



Q ボールに近づきすぎ、または離れすぎて バランスを崩す場合は、どうしたらいいですか?

A フットワークで解決しましょう。

――向かってくるボールに対して近づきすぎても、離れすぎてもバランスを崩しやすいです。この2つの問題を避ける方法を教えてください。

スミス その2つの問題は良いフットワークで解決できます。

 ボールが向かってくるときに、足にあまり体重を乗せず、いつでも動かせるような状態にし、ボールの軌道を誤ったり、風でボールが変化してもスイングできるように、正しいポジションに修正するようにします。


ボールとの距離を調整するため、足はいつでも動かせるような状態

 正しい方向に踏み込むことも欠かせません。一般プレーヤーによく見られるボレーのミスは、ボールが飛んでくる方向はそのつど違うのに、すべて同じように前足を前に踏み込んでしまうことです。例えばバックボレーなら、右足を時計の針の11時の方向に踏み込んで打つこともあれば、ボールが自分の腹のほうに飛んできたときには、右足は1時の方向に踏み込むべきです。ところが11時の方向に踏み込むと、ボールに近づきすぎることになります。また、もしボールがワイドに飛んで来たときは、右足は9時の方向へ向かうはずですが、このときに11時の方向にステップしたらボールから遠すぎます。


ボールが飛んでくる方向、打つ方向はそのつど違うもの。状況に応じて踏み込む方向を変える

 このように、テニスはダイナミックなスポーツですから、状況によって前足を踏み込む方向も変えなければなりません。


状況に応じて、正しい方向へ踏み込む

 腕のポジションも、ボールに対して適切な間隔を保つのに役割を果たします。フォアハンドのテークバックでは、左腕は伸ばしてベースラインと平行になります。左腕は空間を測る目安となり、バランスの良いストロークを打つときに正しい距離をとる助けにもなります。


左腕をベースラインと平行方向に伸ばし、左腕を空間を測る目安とする

 フォアハンドでボールが近すぎて詰まってしまい、身体の近くにラケットを巻きつけてフォロースルーをする選手は、身体から離れた位置でラケットを左手でキャッチするようにすると、空間認知を改善することができます。

 私たちの脳は両手が連動して動くことを好みます。右手は左手が差す方向に導かれるのです。そのため、左手がフォロースルーのときにスペースをつくれば、コンタクトポイントでも右手のためにより大きなスペースをつくってくれます。

フットワークで改善できない空間認知の問題

 もう一つ言うと、両腕の同調はボールへのポジショニングを邪魔することにも、助けることにもつながります。例えば、フォアハンドでボールに対して近すぎると詰まってしまうことになり、打つときに手首を前に折ることになります。スイング方向が正しくなく、アウトサイド―インのスイングになります。

 この場合は、フットワークの改善が空間認知の問題を解決してくれるわけではありません。リストをフックするクセがあるので、そういう人はリストを後方に寝かせる方法を学べば、より前で身体から離れた位置でとらえることができ、ボールに近づきすぎる問題も解決できます。(中編、後編に続く)

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