ジーン・メイヤーのジオメトリー・テニス_vol.02_クロスとダウン・ザ・ライン
Q15|ベースラインでのラリーの間、クロスのショット対ダウン・ザ・ラインのショットの幾何学的な長所と短所は何でしょうか?
A|有利なポジションを生み出すためのチャンスは、クロスのショットにあります。
メイヤー すぐれたプレーヤーふたりがこれを練習でやるときは、基本的に、拷問のようなドリルになります。大事なのは、ボールを強く引っ叩くことでポイントを終わらせないようにすることです。ラリーのリズムをキープし、ドリルを継続させることです。もしあなたがダウン・ザ・ラインに打つ選手で、あなたのパートナーがクロスに打つのを得意とし、コートに大きなオープンスペースをつくることができる選手なら、あなたはコート上で相手よりずっと広い範囲をカバーすることになります。
私の父は、よく『テニスはクロスコートのゲームだ』という表現を使っていました。彼は、優位なポジションを生み出すためのチャンスは、主にクロスのショットにある、と言わんとしていたのです。だからといって、効果的なダウン・ザ・ラインを打てないとか、ダウン・ザ・ラインで終わらせることはできない、という意味ではありません。でも、クロスのショットでラリーをコントロール下に置き、相手を思い通りに前後に走らせることができるなら、相手にとって状況は非常に難しいものとなるでしょう。
クロスとダウン・ザ・ライン
基本はクロスラリー
クロスラリーからフォアハンドで回り込み、コースを隠してもう一度クロスへ
クロスラリーからバックハンドで、ダウン・ザ・ラインへ
Q16|ドロップショットはこの原理の例外ですか?
A|ドロップショットはダウン・ザ・ラインに落とせば飛距離が短く、相手は返球が難しくなります。クロスに打つのは危険です。
メイヤー そうですね、ドロップショットはダウン・ザ・ラインに打ったほうがいいです。というのもドロップショットをクロスではなくダウン・ザ・ラインに落とせば、ボールの飛距離がより短くなるため相手は返球することがより難しくなるからです。クロスに打つドロップショットは危険なのですよ。
多くのアマチュアは、なぜプロがダウン・ザ・ラインにいいドロップショットを放ったあと前に出ているか理解していません。それはほとんど必然です。ひとたび幾何学的な可能性が何であるか(自分が打ったショットに対する相手の返球が、幾何学の論理的な可能性に照らし、どのコース、どの範囲に戻ってくるか)を学んだら、ドロップショットが良ければ良いほど、対戦相手がそれを別のドロップショットで切り返してくる傾向が強まるということに気づくはずです。(自分がドロップショットを打ったあとに)前に出れば、その可能性を絶つことになります。
また、もし前に出たら、相手の浮いた返球をボレーで仕留めることもできます。どこにドロップショットを打ち、そのドロップショットに対する相手の返球をどのようにカバーするかは、この上なく幾何学的なことなのです。
ジョコビッチのドロップショット。ダウン・ザ・ラインに打っているのはクロスよりも飛距離が短く、相手により難しい返球を強いることができるからだ
写真のジョコビッチ(手前)はダウン・ザ・ラインにドロップショットを打ち、それをナダル(奥)が追いかける
自分が打ったドロップショットのコース、場所、ネットの高さに対して、相手がどのような様子か見れば、返球の可能性を割り出すことができる。ジョコビッチは、ナダルがさらにドロップショットで切り返してくるか、角度をつけて返球してくるかを予想し、前進の準備をしながらとどまっている
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