ジーン・メイヤーのジオメトリー・テニス_vol.02_クロスとダウン・ザ・ライン
Q17|サービスリターンに際し、やや前に踏み込んだポジションと、下がったポジションで、それぞれの長所と短所は何ですか?どこに立つべきなのでしょうか。
A|踏み込めば角度を狭めることができ、下がれば広くカバーできるのと、得意なショットでフルスイングができます。
メイヤー 鋭い質問ですね。ここで、ある意味、やや常軌を逸した現象となっているものを見てみることにしましょう。
今や多くの選手たちが、比較的踏み込んだポジションからファーストサービスをリターンしています。それは、もしそうしなければ、コート上のずっと広い範囲をカバーしなければならなくなり、正確なワイドに逃げていくサービスによって簡単にエースを奪われてしまうからです。
しかし、特に極端なグリップを使う多くのプレーヤーたちにとって基準となってきたのは、セカンドサービスに対し、ベースラインよりかなり後ろに下がったポジションをとるというものなのです。つまり、セカンドサービスではスピードが落ちるため、リターンする選手は後ろに下がればコートをカバーすることができ、またそのボールに対しフルスイングして、場合によっては(フォアで回り込むなど)自分が得意とするサイドのグラウンドストロークで打つことができるからなのです。
ファーストサービスに対するリターン
ファーストサービスに対するリターン レシーバーは前方に構えることで相手のサービスの角度を封じる
セカンドサービスに対するリターン
セカンドサービスに対するリターン レシーバーは後方に下がることで確実にリターンし、自分が得意なストロークから展開していく。かつてと逆で、最近はセカンドサービスのリターンで、ファーストサービスのときより下がって構え、得意なストロークで打つことを選択する選手もいる
Q18|それはかつてのやり方と正反対ですね。
A|その通りです。かつてのレシーバーはファーストサービスで後方に構え、セカンドサービスで前方に構えていました。
メイヤー その通りなのですよ。私はかつてセカンドサービスをリターンするときに、ベースラインの内側に立ちました。これも幾何学に基づいた作戦です。
私はフォア、バックとも両手打ちだったため、かつての名選手ロスコ・タナーのようなビッグサーバーを含め、ほぼ誰に対してもコート内に踏み込んでリターンを打っていました。通常は、ロスコのファーストサービスをベースラインから1、2歩内側に踏み込んだ位置に立って返し、セカンドサービスはベースラインの内側に6フィート(約183㎝)ほど入った位置でリターンしていました。彼は一時期、木のラケットでも時速193㎞ほどのサービスを打っており、それからアルミニウムのラケットに変えました。そうだとしても、私のような両手打ちがその方法であれば返球できたのです。
一方で私は両手打ちゆえ、かなりサービスエースを奪われやすいことにも気づいていました。両手打ちの私のリーチが短く、速いサービスに対してボールにラケットを届かせる能力に限界を抱えていました。
同時に、両手打ちであったがゆえに、十分なだけコンパクトに打ち、ボールのバウンドの上がり端をとらえて、フォア、バック両サイドからトップスピンをかけることができていました。だから時間的余裕の面で私は有利でしたが、リーチの長さという面では私に不利でした。
私は主に、身体に食い込んでくるボディサービスのうまいサーバーに対し、苦労する傾向にありました。でも、ワイドに逃げていくタイプのサービスに対しては、コート内に踏み込んでバウンドのあがり端をとらえる打ち方をしていたため、比較的うまく対処することができていたのです。
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