ジーン・メイヤーのジオメトリー・テニス_vol.02_クロスとダウン・ザ・ライン



Q19|オーバーヘッド(スマッシュ)に関してはどうですか? どんなときにダウン・ザ・ラインを狙い、どんなときにクロスに打つべきでしょうか?

A|オーバーヘッドをしっかりライン際に打ち込めれば、そこで決まらなくても、対戦相手のパスに限界を設けられます。

メイヤー それは状況次第です。ロブに対してオープンコートに打ち込むなら、それがクロスへのオーバーヘッドだろうと、ダウン・ザ・ラインへのオーバーヘッドだろうと、うまくいくはずです。それはまた、スマッシュを決める上での、あなたの自信のレベルにもよります。

 例えば、もしあなたがオーバーヘッドをしっかりライン際に打ち込めば、そこで決まらなかったとしても、対戦相手があなたをパスで抜く能力に限界が設けられます。でも、もしあなたがオーバーヘッドをクロスに打ち、あなたがコート中央に動かなければならないようなら(ポジショニングし直して、リカバリーしなければならないようなら)、そのときは、相手はあなたをクロス、あるいはダウン・ザ・ラインへのパッシングで抜くことができるかもしれません。

 ここで興味深いのはプレーヤーたちが、オーバーヘッドにはっきりしたパターンを持っていることです。多くのプレーヤーは、オーバーヘッドをコートの両サイドに打つのを嫌います(サイドアウトを嫌います)。

 だからこそ対戦相手のパターン、傾向を知るというのは極めて重要です。また、オーバーヘッドをクロスにもダウン・ザ・ラインにも打つことができるということも重要なことでしょう。


サービス同様にスマッシュもすぐれた技術を持つフェデラー。オープンコートを狙って打つことができ、エラーするところをほとんど見たことがない



Q20|そのほか、テニスの幾何学に関わることで考慮に入れるべきことはありますか?

A|オーバーヘッドはネットに近い位置から打つほうが決めやすいです。

メイヤー あなたがロブを上げた場所から、対戦相手が何を生み出し得るかということを知るのもまた、重要なことでしょう。それから、こういう問いもあります。

「自分がコートの可能な限りの範囲をカバーしようとしているとき、どのようにして、相手がオーバーヘッドを返してきた場合に、少なくとも次のボールを打つことができるようにするため、最良のポジションに身を置くことができるのか?」

 現在の男子テニス界では、並外れて素晴らしいロブでない限り、選手たちはほとんどすべてのロブを決めにいきます。ラファエル・ナダルは、自信、ポイントにトドメを刺す能力という意味で、もっとも並外れたオーバーヘッドの名手の一角となりました。一方でノバク・ジョコビッチは少し危なっかしくなることもあり、オーバーヘッドをあまり強く打たないため、多くのボールを返されることになります。

 ともあれ、あなたが主導権を握り、ネットにより近い位置にいて、向かってくるボールが肩より上にあるとき、あなたが強くクロスに打って決める可能性は、1m余り下がった位置から打つよりもはるかに高い、というのが幾何学の原理なのです。


ナダルはオーバーヘッドに大きな自信を持っている。ロブが上がれば常にポイントにトドメを刺しにいく


ジョコビッチはオーバーヘッドにそれほど自信を持っていないようだ。あまり強く打たないため、相手に返球されることになり、ラリーが続く傾向にある

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