サーシャ・バインのコーチング_コーチのアイディアで欠点を克服する&長所を伸ばす

サーシャが明かす大坂なおみの成長
スピンをかけてショットの安定性が向上、技術を使いこなせるようになった

目的やターゲットの設定によって自然にそうする状況をつくる

 ナオミは攻撃的なプレーが持ち味の選手ですが、安定感に欠けるところがありました。それはプレースタイルによるところもありますが、以前は球筋が今よりもフラットだったというところにもその要因がありました。私は彼女に、ベースラインの打ち合いの中で、もっとスピンをかけるように言い続けましたが、なかなかそれができませんでした。

 そこで、私自身、考えを変えることにしました。練習の設定によって、スピンをかけなければいけない状況をつくることにしたのです。ベースラインからネット際にボールを落とすことをターゲットにすれば、必然としてスピンをかけなければなりません。前に落とそうと思えば、自然に飛んでくるボールの下からスイングを開始する意識につながり、それがスピンをかける技術につながります。

 もちろん、回転をかける技術自体はすでに身についていたものに違いありませんが、練習を繰り返すことで、ラリーの中でその技術を使いこなし、また逆に攻撃すべきときはフラットで打つというメリハリを身につけることにつながりました。

 練習方法自体は一般的なものですが、コーチは狙いを考えながら選手に向き合うことが必要ということでしょう。

 いくら選手に欠点を指摘しても、すぐに修正できるわけではありません。大切なのは、コーチ自身のアイディアで、選手がそういった動きを自然に習得できるように導いていくこと。練習の内容も、技術も自分たちで見つけていくのです。

「コーチがアイディアを出して、選手が習得すべき技術を自ら身につけるように導いていくことが大事」

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