サーシャ・バインのコーチング_コーチのアイディアで欠点を克服する&長所を伸ばす


サーシャが明かす大坂なおみの成長
3本以内にポイントを落とさない心がけでサービスのあとの動きが向上した

サービスを打ったあとの対応、動きを意識

 ナオミはビッグサーブを持っている、それが最大の武器、というようにみなさんが言いますが、実際に彼女の試合のスタッツを見てみると、サービスから3本以内にポイントを落としていることがすごく多かったのです。つまり、3本以内にポイントがあまり取れていませんでした。3本以内でポイントを獲得する確率は、選手の中でも低いほうでした。

 ビッグサーブを持っているにもかかわらず、なぜそのような状況が起こるかというと、サービスだけの練習、リターンだけの練習を行うことが多かったのです。基本的に、長いラリーを想定した練習がすごく少なかったですね。

 3本目までにポイントを落とさないためには、サービス側であれば、サービスを打ったあとにどう対応するのかという練習が必要です。サービスを打ったあとに速いリターンが返ってくることもよくあることです。それに対応するためには、サービスを打ったあとの動きが重要になってきます。

 この練習はサービス側はサービスのあとの早い対応の練習、またリターン側はコントロールの練習です。リターン側には「センターには打たない」というルールをつくり、仮にそのエリアに打ってしまったら、罰ゲームとして「振り回しを20球」などと設定してもいいでしょう。ナオミも罰ゲームとして腕立て伏せをよくしています(笑)。

サーシャ・コーチのアイディア「もっとワイドサービスを使ってほしい」

 サービスからのポイント形式練習で、ナオミはどうしてもサービスをセンターに打つことが多かったので、私は彼女にもっとワイドのサービスを使ってほしいと思っていました。センターはエースを奪いやすいコースですが、それだけでは相手に読まれやすくなってしまいます。そこで練習の中で、ワイドを使ってポイントを決めた場合は、よりポイントが増えるように設定して練習するようにしました。これもコーチとしてのアイディアです。

 これはどの選手にも当てはめることが可能なアイディアです。例えば、アウトよりもネットのミスをすることが多い選手がいて、もっとボールを飛ばしてほしいと思っているようなときには、ポイント練習の際に、ネットミスをしたときには「-2ポイント」、アウトのミスをしたときには「-1ポイント」というように設定します。当然、選手はネットをするのを避けるために、よりボールを大きく飛ばすように意識するでしょう。

 そういう意識を続けることが試合にも生かされていくのです。こうしたルールづくりはサービスやストロークだけでなく、何にでも当てはまります。

続きを読むには、部員登録が必要です。

部員登録(無料/メール登録)すると、部員限定記事が無制限でお読みいただけます。

いますぐ登録

Pick up

Ranking of articles