ショーンボーン博士のテニスゼミナール〜「今回のテーマは〈ビッグポイントとは?〉」

ビッグポイントを考える 10
1ポイント目、2ポイント目も非常に重要!〈ビッグポイント〉にはプロセスがある

 ゲームの1ポイント目、2ポイント目よりも、ブレークポイントやゲームポイント、セットポイントが重要だという話もあります。これもまた通用しません。既述した〈ビッグポイント〉には必ずその前段階があり、まさに最初の1、2ポイントを何とかして取り、〈ビッグポイント〉に達しよう!ということです。いくつかのポイントは軽視してもよいなどという声には、非常に驚きますし、危険そのものです。

ビッグポイントを考える 11
試合全体を通した分析なしに、あるポイントを〈ビッグポイント〉とする説は単なる憶測に過ぎない

 いわゆる〈ビッグポイント〉がいかに重要かということを指し示すように統計を用いた戦術的な考え方に、私は与することはできません。試合はすべて異なっており、選手は異なる状況下でさまざまに対応します。その人にとっての〈ビッグポイント〉は、他人にとっては〈通常ポイント〉です。それを〈ビッグポイント〉と呼んで強調するときには、個人的意見と前置きして行うべきです。何より試合分析は、最初から追究分析して、ポイントごとに分けて判定し、それらの間の関連性と結果を認知して評定することが必要です。この方法が常識です。

 ところが、試合全体を通して分析することなく、プレー中に何らかのポイントを重要だとする説は、単なる憶測に過ぎません。憶測とは、日常語では「仮説」とか、「証明不能な言明」「予測」「推測」を意味しています。そういうケースにおいて、試合中、試合後に述べる個人の見解は、おそらく当該選手の意見からはほど遠くて合致しないでしょう。

 これらは私自身がこれまでにコーチとして、かなり多くの選手の下で繰り返し経験してきたことです。選手は主観的に反応したり分析したりすることが多く、特に敗退後は、非現実的かつ一面的で、中でも〈重要なポイント〉については、コーチとはまったく別の意見であることがほとんどです。

 以上が私の意見です。非常に明快ですが、しかし、これ以上のことは沈黙しておきます。少なくとも誰かが私に憶測ではない事実で証明してくれるまでの間は。

 トレーニング学や動作学、はたまたこのような微妙なテーマについて発言する事柄は、すべて科学的に、せめて詳細かつ証明可能な事実に基づいて説明しなければなりません。そのことに私は全コーチ人生を費やしてきました。これまでのところ、うまくやっているつもりです。個人的な意見や仮説、憶測を並べる者は…砂場に頭を突っ込む者は、やがて歯ぎしりをすることになります。

敗退後の選手は特に主観的で一面的になりがちだから試合全体を通した分析が必要となる

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