ショーンボーン博士のテニスゼミナール〜「今回のテーマは〈ビッグポイントとは?〉」
ビッグポイントを考える 3
ゲーム分析をするときは試合経過をたどらなければ意味はない
もし選手が、長時間かつ僅差の試合を1ポイント優勢で制した場合、それは、その選手がその試合の〈ポイント〉という点で優勢であったということを意味します。
今年のオーストラリアン・オープンのベストマッチの一つは、(優秀かつ高品質の試合と考えます)4回戦のディミトロフ対キリオスの試合でした。スコアは7-6(3)、7-6(4)、4-6、7-6(4)、獲得ポイント数はディミトロフが157、キリオスが156でディミトロフが勝利しました。この試合は、1ポイント多く取ったディミトロフが勝ちましたが、最終的に1ポイントまたは2、3ポイントを多く取っても、あるいは同数ポイントでも敗者となる例外も確かにあります。
この点は、2回戦のディミトロフ対マクドナルドの対戦が示しています。獲得ポイントの合計はディミトロフが148、マクドナルドが150でしたが、勝ったのはディミトロフです。
ディミトロフから4-6、6-2、6-4、0-6、8-6というスコアの試合でしたが、第4セットが0-6と、半ば諦めのセットがありました。勝者であっても、そのときの失点をその後に挽回することがいかに難しいか、少し細部に立ち入って見ると簡単に原因を見抜くことができます。
そうすると、パフォーマンスが拮抗する選手同士の対戦で(これが世界クラスでは普通のことですが)、いったいどこで、いかにしてポイント優勢を獲得したらよいのかという問いが出てきます。私の分析システムでは、こうした謎を極めて容易に解くことができます。
もしも、いずれの試合も“たった”2ポイント差で勝者が決まるというルールだったら、5セットマッチ終了時には、“たった”4ポイント優勢なほうが試合を制するというルールだったら、より多くのポイントを獲得しようとしないのでしょうか。現実には、そのような試合は一つとしてありません。いずれの試合も持続時間が長ければ長いほど、必ず両者ともに〈浮き〉〈沈み〉、〈成功の少ない〉〈成功の多い〉周期があり、それでも最終結果が1ポイント優勢か否かで決まることもあるのです。
合計ポイント数が多いほうが試合を制する確率が高い!
DATA3 | 2018 Australian Open | 男子シングルス4回戦 |ディミトロフvsキリオス | 全ポイント経過