ショーンボーン博士のテニスゼミナール〜「今回のテーマは〈ビッグポイントとは?〉」
ビッグポイントを考える 7
危機的状況を〈ビッグポイント〉と呼ぶ意見に反対!それを知るのは選手本人だけ
〈ビッグポイント〉は試合中にいったい何回程度あるものでしょう。双方の選手にとっての危機的状況を〈ビッグポイント〉として分類するなら、かなりの数になります。
私はかつて、ITF(国際テニス連盟)の国際セミナーに参加した210人の外国人コーチに記入式のアンケート調査を行い、その設問の一つに〈ビッグポイント〉に関するアンケートを設けました。その結果、まったく相反する、しかも矛盾した回答を得ました(これも私の著書『テニスの戦略と戦術』107頁に記載)。その上、著名な世界のトップコーチの面々がその中にいたのに、です。
各人が〈ビッグポイント〉について語るのですが、奇妙なことに、そもそもそれが何なのかを承知している人がいませんでした。 〈ビッグポイント〉を専門用語として使っているのであれば、一般に承認される、統一的な定義がなければいけませんし、まして意のままに、独自の個人的見解で特定したり、説明したりしてはならないもののはずです。さらに、これらの概念は、少々不可思議なことが起きたときに発せられるという有様です。
先の二人の著者の言葉を引用すると、「試合を決定づけるようなポイントを専門的には〈ビッグポイント〉と称している。それは試合の重要なポイントを代表し、試合全体の結末に多大な影響をおよぼす」とあります。
では、第1ゲームの3-3または4-4というスコアのあとにブレークをする際、その時点においては、それは試合を決定づけるポイント、あるいは、のちにそういうポイントであったと言えるのでしょうか?観客やレポーター、またはコメンテーターがそれを判断できますか?
その時点で感じ取り、判断できるのは、コート上の選手だけです。それ以外は証明不能な個人的推察に過ぎません。
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