錦織圭_世界をリードする超攻撃的テニス

「 リターンに対するフォアのダウン・ザ・ラインの精度向上 」
── 丸山淳一

 サービスをワイドに打ったあとに返ってきたリターンをオープンコートに打つ3球目攻撃のクオリティがサービスキープの確率を高めている最大の武器になっています。これで確実に相手を走らせることでリターナーに主導権を渡さずにサービスキープに結びつける展開が素晴らしいと思います。この3球目のボールコントロールの精度が上がり、以前より確実にライン際に正確に打てるようになっています。

 このショットがラインの1m内側に入ると、相手がいい体勢で次の4球目を打ててしまうため、一気に主導権を渡すことになってしまいます。大切なのは相手に4球目でディフェンシブなショットを打たせることです。このショットの精度に関して完成の域に達している選手は数少なく、しかし錦織選手はその最高レベルの中の一人になっていると思います。

サービスに対してクロスに返球されたリターンを、フォアハンドでダウン・ザ・ラインヘ切り返す精度が高まった

「 バックハンドの角度が相手を休ませない 」
── 増田健太郎

 錦織選手が打つ鋭角に入るバックハンドは、相手を翻弄します。あれによって相手はゆっくりとラリーをする時間がなくなるのです。錦織選手のフォアハンドの構えは非常に早く、テークバックしたあとは、どっちにボールがくるか相手は読めません。そうするとバックハンドでは休みたくなるところですが、今度は角度が鋭くて休ませてもらえないのです。ですからゲーム展開が早くなるわけです。

 ちなみにそういう錦織選手が手こずる相手が、ガスケ、ワウリンカなどのバックハンドで主導権が握れる選手たちです。また、錦織選手がバックハンドを鋭角に打っても片手のスライスで逃げることができる選手たちです。

バックハンドクロスを鋭角に打ち、相手をコート外へ追い出す。それによって相手はオープンコートをカバーしなければならず、時間がなくなる

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